言語文化教育で有名なByram(2012)の言語アウェアネスについての論文を読み直しました。

バイラム(Byram)といえば、前も紹介しましたが(詳しくはこちら)文化間教育でかなり有名です。

ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)という、ヨーロッパ全体の言語学習に関する2001年発行の政策文書があるのですが、バイラムはこの文書に大きな影響を与えています(このCEFRを発行した欧州評議会言語政策部アドバイザーも務めています。)

このCEFRに基づいて、DELFやDALFなどのフランス語を習っている人にはお馴染みの試験も作成されているので、影響力は計り知れないですね。

 

  • Byram, Michael, and Lynne Parmenter, eds. The Common European Framework of Reference: The globalisation of language education policy. Vol. 23. Multilingual matters, 2012.
さて、今回読み直したのは以下の論文です。2010年7月25日~28日にドイツカッセル大学行われた第10回言語アウェアネス学会国際大会での講演を基にした論文のようです。
  • Michael Byram (2012): Language awareness and (critical) cultural awareness – relationships, comparisons and contrasts, Language Awareness, 21:1-2, 5-13

この論文では「言語アウェアネスと(批判的)文化アウェアネス」という題で、言語アウェアネス、文化アウェアネス、その違いなどについて話していました。ちなみにアウェアネスというのは「意識」「気づき」とよく訳されるようです。言語アウェアネスというと、自ら・他者の言語使用に対しての意識を高めるという意味合いで使われることが多いように思います。

この論文でByramは、よく文化間能力のモデルでは、「言語能力」と「文化能力」の関係性を明確にしていないことを問題にしています。

Byramは、言語・文化の社会的な側面と心理的な側面の両方を分析・考察することで、この2つをリンクさせることができるのではといっています。社会的側面とは、社会の中で言語がどう使われているかということで、方言や変種などへの意識を高めることが例として挙げられていました。また、心理的側面については、自分の中で文化や言語がどういう意味を持つか自己分析することで、自分の言語・文化とアイデンティティについて振り返ることを例に挙げていました。(p.8-9)

こういった言語・文化に対して批判的見る力を養うこと(批判的アウェアネスを高めること)は、言語・文化教育において非常に重要であり、また、バイラムがいうシティズンシップ教育(ざっくりいうと社会の一員として責任を持って行動できる人間を育むこと)にも非常に大切になってくるといっていました。

ちなみに上に書いたCEFRでも、学習者のことを「social agent(社会的エージェント)」(つまり社会的に主体的に考え行動する人)と見ています(Council of Europe 2001, p.9)。これはCEFRには、言語学習を通して「ヨーロッパ市民を育む」という考えが根底にあるからだと思います。



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