画像を分析する時などに役立ちそうなScollon and Scollon (2003)のGeosemioticsについての本を読んでいます。

この前紹介した映像や写真の分析をするときに役に立ちそうな以下の本 (詳しくはこちら)の序章と第一章を読みました。

  • Scollon, Ron, and Suzie Wong Scollon. Discourses in place: Language in the material world. Routledge, 2003.
第一章では彼らの提唱している「Geosemiotics」という概念を説明し、この本全体を概観していました。

Geosemioticsというのは、日本語では地理記号論にでもなるかと思いますが、つまり、ある特定の場所における、記号やディスコース、自らの行動がどういう社会的意味を持つかというのを探るものらしいです。
具体的には”the study of the social meaning of the material placement of signs and discourses and of our actions in the material world” (p.2) といっていました。

他との違いは、「物質界で」というところに注目しているということだと思います。ディスコース分析だと、テキストの書かれたり読まれたりする「場所」にはあまり注目せずに、テキストの中の言語そのものを分析することが多いですが、この本では「実際に起こった場所」でどういう意味を持つかという「場所」を重視しています。

Scollon and Scollonによると、例えば、ビーチで裸でいる人は「ヌーディスト」といわれますが、自分のお風呂で裸の人は、ただ風呂に入ろうとしているだけで、別に「ヌーディスト」にはなりません(p.2)。「具体的にどこで起こったか」というのも、記号、ディスコース(テキスト)、自分の行動の解釈に多大な影響を及ぼすと指摘しています。

Blommaert (2005)もいっていましたが(詳しくはこちら)、確かに「どこで」行われたかというのは大切な割に、分析の対象にされることが少ないような気がします。

Scollon and Scollonは地理記号論の主な枠組みとして、①interaction order(Goffman)、②visual semiotics (Kress and van Leeuwen (1996)、③place semioticsの3つを挙げていました。これについては本の中で後々詳しく説明されるようです。