Social constructivism(社会構成主義)に基づいた研究について調べてみました。

この前の記事でピアジェとヴィゴツキーについて書きました(詳しくはこちら)。ヴィゴツキーの考えでは①学習は社会的な要因から切り離すことができないこと、②さらには人の思考と社会の2つをつなぐ「媒介物」として言語が存在するという話でした。

ヴィゴツキーの考えはよく社会構成主義(social constructivism)と言われます。紛らわしい言葉で社会構築主義(social constructionism)というのがありますが、私の理解では、社会構成主義(social constructivism)のほうは、個人の認知・思考・行動における社会の影響など、あくまで視点が「個人」なのに対し、社会構築主義(social constructionism)のほうは、ディスコースを通してどう言論が作られていっているかなどの社会における共通の認識に着目しているように思います。

  • Vygotsky LS (2001). 柴田義松(訳). 新訳版・思考と言語.新読書社

さて、今日読んだ論文は以下の論文で、具体的に社会構成主義に基づいてどんな研究ができるのかという論文でした。

  • Palincsar, Sullivan A. (1998). Social constructivist perspectives on teaching and learning. Annual Review of Psychology, 49, 345-375.

心理学の学術誌に掲載された論文で特に第二言語習得に限った話ではありませんでした。

この社会構成主義の視点に立った分析研究としては以下のようなものがあるそうです。

①教育機関の分析(institutional analyses)
教育機関やクラスを社会文化プロセスの場と考えて、教育機関・クラス自体を研究の対象にすること。例えば、2つの別の教育機関でどのような活動が行われているかを調べ、これに基づき(教授法の違い以外に)どのような文化システムや規範等が存在しているかを研究することが挙げられるそうです。

②対人関係分析(interpersonal analyses)
社会構成主義の視点では、人と人とのインターラクション(交流)も学習の重要な要素なので、クラスメートや教師とのインターラクションがどう認知・学習を促進するかを分析研究することもあります。

③談話分析(discursive analyses)
社会構成主義の視点では、ディスコース(談話)が認知発達を促す要因でもあるので、発達を促すディスコースを調査する研究などもあるそうです。

そのほかにも、評価や、個々人のニーズに合わせた教育提供、教育改革などにもこの社会構成主義の視点は使えるのではといっていました。ダイナミックアセスメントという、学習者の学習成果ではなく、学習可能性に注目して行う評価手法があるのですが、これもこの社会構成主義の視点を取り入れたものだそうです。