Benjamin Bergenのメンタル・シミュレーションに関する動画を視聴しました。

たまたま時間があったので、以下の動画を見ました。カリフォルニア大学マーセド校で行われた講演です。

  • Benjamin Bergen (2011, Fall) Does language put mental simulation in the driver’s seat? “Mind Technology and Society (MTS) talk series, 2011-12”, Cognitive and Information Sciences of University of California, Merced

Mind, Technology and Society Lecture Series #13, Fall 2011, UC Merced from Rick Dale on Vimeo.

講演者のBenjamin Bergenは本も多数出版しているようです。

  • Bergen, Benjamin K. Louder than words: The new science of how the mind makes meaning. Basic Books, 2012.

この動画では「mental simulation(メンタル・シミュレーション)」について説明していました。

彼によると、人が何かの文を理解するときには、頭の中でそれをシミュレーションしているそうです。

例えば、「道を歩いていたらライオンに会った」という文があったとすると、「歩いていた」というところでは、脳の中の実際に足の運動に使う箇所が反応しているらしいです。

例として挙げられていた実験の1つで面白かったのが以下のようなものです。

①「私は彼にプレゼントをあげる」
②「彼は私にプレゼントをくれる」

という2つの文があったとします。①のほうは自分の方から相手に前方向に動く動作の文で、②のほうは相手から自分の方に後ろ方向に動く動作の文です。

この2つの文を聞いた後に実際に自分の手を前か後ろに動かしてもらったそうですが、文章の中の動きとあっている方が、あっていない方より反応が早かったそうです。つまり、①の文を聞いた後に前方向に自分の手を動かす方が、後ろ方向に動かすより早く、②の文を聞いた後には後ろ方向に自分の手を動かす方が、前方向に動かすより早かったそうです。

また、運転などの実際の行動をしているときにも、そのときに聞いている言語の内容によって、ブレーキの速度が遅くなったり、車間距離が開いたりするようで、言語の理解が実際の行動にも影響を与えるといっていました。
最後の方には文法構造がメンタル・シミュレーションに与える影響についても触れていました(日本語の例もありました。)。

今回挙げられていた研究例は、1人で文を理解するときの例でしたが、誰かと対話しているときはどうなんだろうとか、映像を見ながらのときとはどう違うのだろうとか、次から次へと疑問も浮かび、研究の幅が広そうなテーマだなと思いました。