Kramsch(1996)の文化教育についての短い論文を読みました。

一昨日の記事に引き続いて、Kramschの以下の短い論文を読みました。

  • Kramsch, Claire (1995) The cultural component of language teaching. Language, Culture and Curriculum. 8 (2), 83-92

この論文では、最初に言語教育で言語・文化がどう扱われてきたかを述べたあと、現在の言語教育での言語・文化の扱われ方を述べ、最後に言語教育で文化を扱う際の理論的基礎について述べていました。

歴史的背景については、ラテン語やヘブライ語、古代ギリシャ語が権威のあった時代は、これらの言語を通して、普遍的な文化を学ぶという流れがあったと言います。その後、学問としての文学の発展に伴い、国の文化と言語が結び付けて考えられるようになったといっていました。ただ、1970年頃からは、言語学習がエリートのためのものではなく、もっと身近なものとなり、それに伴い、人々の日常の習慣としてのローカルな文化と言語が結び付けて考えられるようになったといっています。

現在の言語教育における言語・文化については、「文化間(intercultural)」「多文化(multicultural)」教育が挙げられるといっています。文化間教育は、ヨーロッパでよく言われる概念で、他者の観点に立って考えたり、自己を内省し一歩下がって考えることなどが挙げられます。「多文化」教育のほうは、アメリカでよく使われるもので、人種、ジェンダー、社会階層などの様々な視点から文化を捉えることで、様々な社会的多様性を考えていく流れだそうです。

ただ、こういった研究が進んでいるものの、実際の言語教育では、狭い概念での言語・文化に基づくものが多いといっています。つまり、言語は固定されたシステムで、中立的なものであると見たり、既存の自己・他者を分ける境界線(国・民族など)に基づき文化を規定することが多いといっていました。

Kramschは、言語教育で文化を理解する際には、固定的な文化・アイデンティティに注目するのではなく、言語学習者が構築しようとしている第三の場所(third place)に注目するべきなのではといっていました。

書いた時期が似ているからだと思いますが、以下の本とも共通する点があるなと思いました。

  • Kramsch, C. (1993) Context and Culture in Language Teaching. Oxford University Press.



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