カリフォルニア大学バークレイ校のランゲージ・センターの「L2 Journal」最新号でネオリベラリズムと言語教育の特集号が組まれたようです。

学術誌ではよく特集号(Special Issue)を組んで、テーマに沿った論文を集めて出版することがありますが、「L2 Journal(第二言語ジャーナル)」というカリフォルニア大学バークレイ校の学術誌が今月、「ネオリベラリズムと言語教育」という特集号を出版したようです。

ネオリベラリズムといえば、このブログでも何度か紹介しているDavid Block(詳しくは前回記事①前回記事②)が最近共著で以下のような本を出しています。

  • Block, David, John Gray, and Marnie Holborow. Neoliberalism and applied linguistics. Routledge, 2013.

これについては、たまにお邪魔しているブログ「こにしき(言葉、日本社会、教育)」(ブログ記事のリンクはこちら、同じ本に関するYahoo!の記事はこちら)で少し前に紹介されていました。面白そうな内容なので、是非読みたい本の1冊です。

L2 Journalは無料で公開しているので、全文インターネット上で読むことができます(リンクはこちら)。ちなみにこの特集号を企画・編集したのはバークレイ校の博士課程の学生達だったそうです。
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ネオリベラリズムのキーワードとしては、説明責任(accountability)、競争力(competitiveness)、効率性(efficiency)、利益(profits) (Holborow, 2012)が挙げられるそうですが、この特集号の序文では、ネオリベラリズムが第二言語教育に与えている影響として以下のようなものを挙げていました。

  1. 専門スキルとしての言語(Language as a technicized skill)
  2. 商品としての文化( Culture as a commodity)
  3. 使い捨て・取替え可能な知識労働者としての言語教師(Language teachers as expendable and replaceable knowledge workers)
  4. 事業主・消費者としての言語学習者(Language learners as entrepreneurs and consumers)
  5. グローバルな言語教育業界の創出(The creation of a global language teaching industry)
  6. 新たな言語的マーケット「グローバル・イングリッシュ」の出現(The emergence of new linguistic markets: Global English)

実際に言語を教えていると、上記の6つで思い当たるところが結構ありますね。

せっかく無料で読めるので、その中の論文でおもしろそうなものも時間があれば読んでみたいです。