南アフリカのハウテン州(Gauteng)の教育言語の問題について

この前インドのカルナータカ州の学校での教育言語に関する議論について紹介しましたが(詳しくはこちら)、南アフリカのハウテン州(Gauteng)でも同様に教育言語についての議論が生じているようです。

ハウテン州はヨハネスブルグがある州ですね(以下の地図の赤い部分)。ズールー語、英語、アフリカーンス語などの母語話者がいる多言語社会です。
gauteng
2015年5月14日にハウテン州の教育省が、アフリカーンス語1言語で教育している学校124校を、英語とアフリカーンス語の2言語併用での教育(parallel-medium)にするべきという決定をしたそうです(具体的な計画はまだだそうですが)。

これに対して、南アフリカ学校運営組織連合(FEDSAS)が反発し、5月27日にはヨハネスブルグの高等裁判所もこのFEDSASを支持する判決を下したそうです。南アフリカの憲法では、皆が自分の選択した公用語で教育を受ける権利を保障しているようですね。

この教育省の決定の目的は、州の学校の児童数増加の問題を緩和するために、英語を含む2言語併用の学校にして、まだ余力のある学校に児童を引き受けさせるという目的だそうですが(情報源はこちら)、FEDSASはこれがアフリカーンス語で教育する学校を不当に扱っていると主張しているそうです。

ウィットウォーターズランド(Witwatersrand)大学のMary Metcalfe教授によると、英語で教育している学校は、白人(white)・アフリカ人児童(African pupils)ともにいるそうなのですが、アフリカーンス語で教育をしている学校は白人(white)が多く、言語による児童の受け入れの有無が、人種による児童を排除のように認識されているといっていました。こういう人々の間の認識が問題の根本にあるといっています。(これには反対する意見もあるようです)

情報源:

アフリカーンス語の勉強本↓

  • 河崎靖「アフリカーンス語への招待―その文法、語彙、発音について」現代書林