タスクベースの学習(TBLT)に関するSkehanの講演を視聴しました。

タスクについてPeter Skehanが最近ロンドンで行った講演がアップロードされていたので見てみました。

  • Skehan (2014) Task vs. Conditions
    http://birkbeck.hosted.panopto.com/Panopto/Pages/Viewer.aspx?id=dcba1001-53e9-4456-b542-401a9c76b5d2

TBLT(Task based learning teaching)は1990年代ぐらいから出てきた言語教育の教授法で、何が特徴的かというと、名前のとおりですが「タスク」を達成することが第一の目的にあることです。

従前の教授法だと、例えば「現在進行形」や「過去形」などの言語を学ぶことが目的で、言語を学ぶのために活用を勉強したり、それを使ったアクティビティなど考えていたわけですが、TBLTの場合だと、「買い物する」とか「旅行の計画を立てる」とかタスクが先にあって、これを達成するために、どういう言語が必要になるかなどを考え、使っていくということになります。

タスクについては全然詳しくないのですが、Skehanはいろいろタスク関係で本を書いています。

  • Skehan, Peter, ed. Processing perspectives on task performance. Vol. 5. John Benjamins Publishing Company, 2014.

今回の講演では、タスクをする際に、どういう条件(conditions)を与えると、学習者の発話のComplexity(複雑さ)、accuracy(正確さ)、fluency(流暢さ)が向上するのかということを話していました。

紹介されていた例だと、タスクの構造(つまり最初から最後まで何をすればいいのかはっきりわかっている)がしっかりしていると、正確さと流暢さにプラスの効果があったり、また、タスクの後で「プレゼンテーションを本当にするよ」とか「自分のタスクの内容を書き起こして」などという更なるposttask(タスク後のタスク)を与えると正確さにプラスの効果があったなどの結果がでたそうです。

タスクの条件(condition)と、学生の発話の複雑さ、正確さ、流暢さの関係については、Robinsonが提唱したCognition Hypothesis(認知的仮説)のような、複雑さと正確さは一緒に向上するという説と、SkehanのLimited Attentional Capacityのような、複雑さ、正確さ、流暢さのどれかに焦点を当てると、どれかに注意がいかなくなり、これらは一緒には向上しないという説など諸説あるそうです。