Scollon et al. (2011)の異文化間コミュニケーションに関する本を読み始めました。

以下の本を読み始めました。
  • Scollon, Ron, Suzanne Wong Scollon, and Rodney H. Jones. Intercultural communication: A discourse approach. John Wiley & Sons, 2011.

Ron ScollonとSuzanne Wong Scollonについてはこの前の記事でも紹介しました。

第1章では、この本の鍵となる「文化」「ディスコース」「コミュニケーション」について説明していました。そのうち、「文化」と「コミュニケーション」についてメモしておきます。

文化について

この本では、文化を以下のように定義しています(p.3)。

  • “a way of dividing people up into groups according to some feature of these people which helps us to understand something about them and how they are different from or similar to other people.”
    文化というのは、あるいくつかの特徴で人々を分ける手段であって、それがそのグループの人々を理解し、他の人々とそのグループ人々との類似点・相違点を知る手助けになる。

つまり、文化というのは所与のもの、自らが属するものなどではなく、文化は「考えるためのツール」(p.3)だと言っています。タイトルの「ディスコース」という言葉からもわかるとおり、ポスト構造主義の影響を濃く受けているようです。

また、人は生まれた時から、親から話し方、歩き方、振る舞い方などを学んでいくといっています。こういった「話し方」などの一つ一つのものを「文化ツール」と呼び、同じ環境で育った人は似たような文化ツールを持つようになるとも言っていました。また、こういったツールはセットで学ぶことが多く(日本で生まれ育った場合は「日本語」「箸の使い方」、「正月の習慣」などを学ぶなど)、これらを「文化ツールキット(cultural toolkits)」と呼んでいました。

コミュニケーションについて

ディスコースについても述べていましたが、そのあとはコミュニケーションについても触れていました。

コミュニケーションについては、以下の4点についてあげていました。

  1. 言語はあいまいであること
  2. 意味については推測しなければならないこと
  3. 推測は固定しがちであること
  4. 推測は非常に早く行われるということ

言語はあいまいなもので、例えば「男がオフィスの前にいる」といった場合も、事務所の建物の前にいるのか、部屋の前にいるのかなど状況によって解釈も変わってきます。なので、状況に応じて意味を推測していかなければならないといっています。

ただ、例えば車で迎えに来てくれた人が電話で「今、オフィスの前にいる」というと、だいたい建物の外にいると推測する人が多いように、推測の方法は固定しがちで、しかもその推測は瞬時に行われるとも言っていました。

非常に読みやすい本なので、また読み進めていこうと思います。