Gass et al. (2002)の教育上の規範(Pedagogical Norms)に関する本を読んでます。

以下の本に収録された論文をいくつか読んでいます。

  • Gass, S. M., Bardovi-Harlig, K., Magnan, S. S., & Walz, J. (Eds.). (2002). Pedagogical norms for second and foreign language learning and teaching: Studies in honour of Albert Valdman (Vol. 5). John Benjamins Publishing.

Pedagogical Normsというのは、訳すと「教育上の規範」とにでもなるかと思います。実際には、例えば「日本語」といっても変種や個人差などあり多様なのですが、学習者には何らかの規範を提示する必要も出てくるということかと思います。

Pedagogical Normsは、言語教育において、どの言葉を規範とするのか(例えば、日本語を学ぶときは普通東京の言葉が規範として選ばれることが多いですが、こういった規範言語の選択)、適切な言葉遣いとは何か、何を文法的に正しいとするか、などといったことに関係しています。

 

  • Magnan, Sally Sieloff, and Joel Walz. “Pedagogical norms: development of the concept and illustrations from French.” Pedagogical norms for second and foreign language learning and teaching (2002): 15-40.

この本の上記の論文の中で、Valdman (1989, p. 272)を引用して、今日よく引用されるPedagogical Normsの原則として以下のようなものを挙げていました。(Magnan and Walz 2002, p.29)(正確には原文を参照ください)

  1. 実際のコミュニケーションの場においてその目標言語の話者が実際に使う言語を反映していること。
  2. ネイティブスピーカーが理想的と思うような言語使用を反映していること
  3. ネイティブスピーカー・外国語学習者の双方が、外国語学習者が使う言語行動として適切であると考えるようなものであること
  4. 学習プロセスや学習要因なども考慮に入れていること(学習者が学びやすいものであること)