Zappavigna (2011)のツイッターの言語学的分析に関する論文を読みました。

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学のMichele Zappavignaのツイッターで使われる言語に関する論文を読みました。

Zappavignaはソーシャル・メディアの言語について複数出版しています。

  • Zappavigna, Michele. Discourse of Twitter and social media: How we use language to create affiliation on the web. A&C Black, 2012.
  • Page, Ruth, et al. Researching language and social media: A student guide. Routledge, 2014.


今回読んだ論文は以下のものです。

  • Zappavigna M, 2011, ‘Ambient affiliation: A linguistic perspective on Twitter’, New Media and Society, vol. 13, no. 5, pp. 788 – 806, http://dx.doi.org/10.1177/1461444810385097

この論文では、2008年にオバマ大統領が米国の大統領選挙で勝利した後24時間の45000件のツイートのコーパスデータを分析し、ツイッターで見られた言語的特徴を分析していました。

分析で使っていたのはSystemic Functional Linguisticsのappraisal theory(評価理論)です(これについてはいつか書ければと思います)

分析の結果、ツイッターでは、個人的な感情や評価(「いい」、「悪い」など)に関する言語が多く、ツイッターはただ自分の状況を報告するだけではなく、多数の読み手に個人的な評価等を伝える対人的機能が強いのではないかといっていました。

また、ツイッターでよく使われるハッシュタグ(#)も、自分のツイートを検索可能とすることで、あるトピックについてのコミュニティを形成する手段となっているといっていました。このトピックについてのコミュニティに参加したからといって、直接コミュニティ内の相手と話さない場合、相手を知らない場合、また一度対話しても再び対話することがない場合もあり、こういった形のコミュニティへの所属について、Zappavignaは「ambient affiliation(直訳すると「周囲的所属」ですが、日本語では適訳が思いつきません)」という言葉を使って説明していました。