田守(2002)の「オノマトペ擬音・擬態語をたのしむ」読了②

昨日の続きです。

  • 田守育啓. オノマトペ 擬音・擬態語をたのしむ. 岩波書店, 2002.

昨日の記事の内容以外にも、いくつか個人的に面白かった点を備忘録としてメモしておきます。

  • オノマトペは具体的で臨場感あふれる描写で知られ、広告や新聞見出し、商品名などでよく使われる(「チン!してふくだけ (p. 22)」、「佐々木 王者をピシャリ(p.33)」など)。ただ、「ゆっくり」や「こっそり」など複数の動詞と一緒に使われ、一般的なことばとして定着したようなものもある。
  • 日本語はオノマトペと一般動詞の組み合わせで描写することが多い。英語は副詞ではなく動詞自体を通して表現する。例えば「歩く」だと、英語はtrot, stroll, wander, lumberと動詞自体を通して歩き方を表現するのに対し、日本語の場合は「ぶらぶら歩く」「よちよち歩く」などオノマトペを使用する。(p.40-42)
  • オノマトペは「はっとする」「どきどきする」「さっぱりする」など、動詞の語尾と結びついて動詞としての役割を担うこともできる。(p. 58-59)。「がさつく」「ぱさつく」「べとつく」など、「-つく」についた場合は、否定的なニュアンスがあるものが多い。(p.61)
  • 音声そのものがあるイメージ・意味と結びつくものもある。例は以下のとおり。
    • 日本語・英語ともに[s]は「滑らかさ」を示すことが多い(すべすべ、すくすく、さらさら、slide,slash, swirlなど)(p.151-154)
    • 日本語では有声(濁音)は無声(清音、半濁音)より大きな音/物、より活発な動作等を示すことが多い(p.175)(「とんとん」vs「どんどん」、「ぱたん」vs「ばたん」など)