SilversteinのSuperdiversityと言語に関する論文について

Silversteinの短い論文についてです(丁寧に全部読んだわけではありませんので、あくまで備忘録ですが・・・)。

  • Silverstein, M. (2015). How language communities intersect: Is. “superdiversity” an incremental or transformative condition? Language and. Communication 44, 7-18.

最近はよく、超多様性(Superdiversity)という言葉を聞きますが、人の移動により、今までの国民国家・民族という括りでは捉えきれなくなっている事象が増えています。

言語使用も複数の言語を同時に使うなど、複雑化しているようです。上記の著者のSilversteinによると、複数の言語コミュニティが接触する場ではピジンやクレオールなどのように、言語が変化したり、複数の言語を同時に使ったりといったことは観察されてきたと言っていました。ただ、今まではどちらかというと周縁部のローカルな言語コミュニティで観察されていたことが、都市部でも見られるようになっているといっていました。

また、language community(言語コミュニティ)speech community(スピーチコミュニティ)という用語を使い分けていました。

language community(言語コミュニティ)とは、国民国家制度の中で構築された社会グループのことを指し(実際の言語使用というより、どちらかというとイデオロギーに基づくわけ方)、共通語などのある「言語」や規範を共有するグループのことです。

Speech community(スピーチコミュニティ)というのは、実際の言語使用に着目したわけ方のようで、言語使用についてある程度の規範を共有する社会グループのことを指すようです。

Superdiversityは、このspeech communityの視点にたってこそ観察できる事象だとSilversteinはいっていました。

 

Silversteinの講義をまとめた以下のような本も最近出版されたようです。

  • Silverstein, M. (2017). Language in Culture: The Semiotics of Interaction. Chicago. HAU.