ジル・ケペル(著)池内恵(訳)の『中東戦記 ポスト9.11時代への政治的ガイド』(2011)を読みました。

研究とは関係ないですが、以下の本を読みました。

  • ジル・ケペル(著)、池内恵(訳)(2011)『中東戦記 ポスト9.11時代への政治的ガイド』講談社

フランスの政治社会学者・イスラーム政治研究者のジル・ケペル(Gilles Kepel )の旅行記です。

この本の宣伝文句にあるとおり9.11前後の「中東の政治的ガイドブック」ではあるのですが、「いつ、何があった」という事実の羅列ではなく、現地に足を運んだケペルの体験に基づいて、エジプト、レバノン、シリアの街並みや人々の様子などを描いているため、肩をこらずに読み進めることができます。

また、なじみのない分野の本だと、著者が常識と思ってそのまま注釈もなく出してくる用語・人物名・通り名などが、それを共有していない読者には想像しづらいということがあるのですが、訳者のイスラーム研究者の池内恵の「詳細すぎるのでは?」と若干突っ込みたくなるぐらいの詳細な解説で、その著者と読者の知識の差を埋めてくれているので、日本語で楽しく読めました。

ジル・ケペルはイスラーム過激派の研究や、最近ではフランス国内のムスリム系移民の研究もしているようで、去年の11月13日のパリの同時多発テロ事件の直後の12月には、以下の本を上梓しています。インターネットの彼のインタビュー記事で読みましたが(出典源は忘れてしまいました・・・)、ケペルにとって今回のパリの事件は(残念なことではありますが)想定内の出来事だったようです。

  • Kepel, Gilles (2015). Terreur dans l’Hexagone: 2005-2015 [フランス内の恐怖:2005年-2015年].Gallimard.