Bucholtz and Hallのアイデンティティの枠組みについての追記

昨日紹介したBucholtz and Hall (2004)の論文でtactics of intersubjectivityというものを紹介しました。

ただ、少し前に紹介したBucholtz and Hall (2005)の別の論文にどう位置付けられるのか調べるため、Bucholtz and Hall (2005)の論文を読み返してみました。

Bucholtz and Hall (2005)では、アイデンティティの枠組みとして、以下の5つを挙げています。(詳しくはこちら

  1. Emergence
  2. Positionality
  3. Indexicality
  4. Relationality
  5. Partialness

tactics of intersubjectivityは、このうち、4つ目の原則、「Relationality」のところに含まれるようです。

Relationalityというのは「関係性」のことで、アイデンティティは他者との関係性との中で構築されるということのようです。他者との関係の中でアイデンティティを構築する上で使うストラテジーのようなものをtactics of intersubjectvityと呼ぶのかなと思いました。

また、tactics of intersubjectvityはすべての可能なストラテジーを網羅したわけではないですし、一つ一つのストラテジーも完全に別個のものではなく重なり合うことも多いと言っていました。

Bucholtz and Hallは以下の本にも寄稿しています。

  • Bucholtz, Mary, and Kira Hall. “Locating identity in language.” Language and identities (2010). eds. Dominic Watt and Carmen Llama. 18-28. Edinburgh University Press.

↑この本に収録されている論文はBucholtz and Hall (2005)を短くして、多少変更したものだそうです。