松井智子 (2013) 『子どものうそ、大人の皮肉:ことばのオモテとウラがわかるには』を読了しました。

少し前ですが、以下の本を読みました。

  • 松井智子 (2013) 『子どものうそ、大人の皮肉:ことばのオモテとウラがわかるには』.東京.岩波書店

この本の前半部では、子どもが「話を聞いて理解する力」そして「相手にわかるように話す力」をどう身に着けていくのかを研究成果を交えながら説明していました。また、アスペルガー症候群などの語用障害の事例なども紹介していて、興味深かったです。

著者は前に少し紹介した関連性理論(詳しくはこちら)に詳しく、後半部ではこの理論についても紹介していました。日本語で噛み砕いて説明してくれていたので、わかりやすかったです。

実は同じ著者の以下の本を半年ほど前に、知り合いに譲っていただいたのですが、まだ最初の数章しか読めていません・・・。

この機会に読みたいなと思います。

  • Matsui, T. (2000). Bridging and relevance (Vol. 76). John Benjamins.

以下、上記の松井(2013)の本で個人的にいくつか気になった点をメモしておきます。

  • 子どもが話し手の確信度を判断できるかを調べた著者自身の研究(p. 11-p.12)によると、3歳児に「青い箱にあるかな」「青い箱にあるよ」を聞かせた場合、文末助詞の「よ」を使ったほうを信じたそうです。「~と思う」「~を知っている」などの動詞の場合は、その確信度の違いがわかるのは4歳~5歳くらいだそうで、文末助詞の獲得のほうが早かったそうです。
  • 3歳児は嘘をつくことができるが、その嘘のつじつまを合わせることがまだできないそうです。「箱の中を見ないで」と言われたのにもかかわらず、こっそり見てしまった場合、「箱の中を見た?」と言われると「見ていない」とウソをつけるのですが、「箱の中に何が入っていた?」とその後聞かれると、正直に入っているものを言ってしまったりするとのことです(p.33-34)
  • 抽象的な概念や複雑な概念を理解したり表現したりできるのは8歳~9歳ぐらいだそうです(p. 66)