現在の応用言語学とは何ぞやというCook (2015)の論文を読みました。

短い論文でしたが、学術誌Applied Linguisticsに掲載されていた以下の論文を読みました。

  • Cook, Guy. “Birds out of Dinosaurs: The Death and Life of Applied Linguistics.” Applied Linguistics 36.4 (2015): 425-433.

上記の論文でも触れられていましたが、Cookは応用言語学の入門書も執筆しています。

  • Cook, Guy. Applied linguistics. Oxford University Press, 2003.

 

昔は応用言語学といえば、言語学の知見を実務者(特に言語教師)に伝え、活用していくというものだったといっていました(Corder 1973)。なので、応用言語学で研究される分野としては言語教育や第二言語習得などが主流だったといわれています。

ちなみに今回のCookの論文にもありましたが、よく引用される応用言語学の定義としてはBrumfit (1995: 27)のものがあります。

‘The theoretical and empirical investigation of real-world problems in which language is a central issue.’

ただ、今回の論文でもありましたが、最近はコーパス言語学や批判的談話分析など応用言語学と一口にいっても、多様化しています。

また構造主義とポスト構造主義など(詳しくはこちら)、言語の捉え方、つまり言語に対する認識論が異なっているため、議論がかみ合わなくなっていることも多々あるといっています。

最後は「Birds out of Dinosaurs: The Death and Life of Applied Linguistics」というこの論文のタイトルに言及し、比喩で締めくくっていました。

現在の「鳥」は「恐竜」の子孫らしいのですが、「Birds out of Dinosaurs」という比喩でいいたかったのは、応用言語学という「恐竜」はもういなくなっている(いなくなりそう)だけれど、それから多様な新たな分野(「鳥」)が生まれているという意味だそうです。