役割語についての金水敏の本の紹介

役割語とは

以下の3つの文を比べてみてください。

  1. 「わしは眠いんじゃ」
  2. 「あたし、眠いの」
  3. 「俺は眠いぜ」

1はおじいさん、2は女の子、3は男性といったように、特定の人物を想像する人が多いのではないでしょうか。

このように特定の人物像を彷彿させるような言葉遣いを役割語と呼ぶようです。現実には「わしは眠いんじゃ」という話し方をする人はいないかと思いますが、アニメや漫画、映画、小説などのフィクションではよくこういう話し方をする人が出てきて、私たちはその人のキャラクターと話し方を自然に組み合わせて理解しています。

役割語を提唱した金水敏は、以下のように定義しています。

ある特定の言葉遣い(語彙・語法・言い回し・イントネーション等)を聞くと特定の人物像(年齢、性別、職業、階層、時代、容姿・風貌、性格等)を思い浮かべることができるとき、あるいはある特定の人物像を提示されると、その人物がいかにも使用しそうな言葉遣いを思い浮かべることができるとき、その言葉遣いを「役割語」と呼ぶ(金水2003, p. 205)

役割語に関する参考本

詳しく知りたい方は以下のような本があります。

  • 金水敏『ヴァーチャル日本語 役割語の謎』岩波書店. 2003

初めて読んだときは感銘を受けたのを覚えています。実際の生活では使われていない「老人語」や「博士語」(「わしは~じゃ」)などが、なぜ定着したのかを歴史をさかのぼって説明しています。

  • 金水敏(編)『役割語研究の地平』くろしお出版. 2007
  • 金水敏(編)『役割語研究の展開』くろしお出版. 2011

上記の2冊は役割語研究をまとめたものです。NHKのテロップ、漫画、小説の翻訳など多様なトピックを扱っています。

 

  • 金水敏. 『< 役割語> 小辞典』研究者.  2014.

これは読んだことはありませんが、小辞典も出ているようです。