選択体系機能言語学(SFL)の第一人者のハサン(2009)のコンテクストに関する論文を読みました。②

Hasan(2009) の以下の本のチャプター「The place of context in a systemic functional model」の続きです。

HasanはSFLの研究内でのコンテクストの扱い方についていろいろ提言しています。

  • Hasan, Ruqaiya. “The place of context in a systemic functional model.” Continuum companion to systemic functional linguistics (2009): 166-189.

Hasanによると、コンテクストを分析するには、「状況コンテクスト」という1つ1つの実際に起こっているコンテクストを見るやり方と、「文化コンテクスト」というコンテクストの大きなシステムを見るやり方があり、どちらも見る必要があるけれども、実際の研究ではどちらかに偏っている場合が多いといっています。

そういった後で、以下のような提言をしています。


まず、Hasanはコンテクストといってもいろいろあるので、2つに分けて考えた方がいいと言っています。

1つはMaterial Situational setting (MSS)でもう一つはRelevant contextです。

MSSのほうは実際に存在している、物質的な状況で、人や物など物理的な制約などがあります。

Relevant contextのほうは、semiotic construct(記号的な概念、実態のないもの)を指すといっています。
例えば、実際に友達と話しているときは、相手がいて、物があって、物理的な状況がありますが、物語を読んでいるときなどは、物語の中でいろいろな状況が起こっていますが、これは物理的な状況ではなくて、想像的なものです。前者がMSSで後者がrelevant contextになると私は解釈しました。

 


また、SFLでは状況コンテクストの構成要素として、field (何について話しているか)、tenor (話者と聞き手との関係性)、mode(話し言葉・書き言葉等のコミュニケーション方法)の3つが挙げられていますが、Hasanによるとこの3つは曖昧模糊としており、分かりづらく、系統だっていないと言っています。

そういった上で、Hasanはfieldについての詳しい系統だった分析方法のたたき台を提示していました。

途中から専門的になってきてだいぶ読むのに苦労しました・・・。読んだ後もこれがHasanが言いたかったことなのかな?とちょっと不安です。