学部生向けの日本語学概論で使用されるような教科書のまとめ

日本語学概論

学部生向けの日本語学概論で使えそうな本を探してみました。

基本的には、日本語学とは何か、音声・音韻、形態論、日本語文法、語用論、社会言語学などを網羅しているものが多いようです。

随時更新していこうと思います。

 

 新ここからはじまる日本語学

  • 伊坂淳一. 新ここからはじまる日本語学. ひつじ書房 2016.

1997年初版を大幅に改訂したものです。

カバーする内容は以下のとおりです。

  1. 日本語学の視界
  2. 日本語の音声・音韻
  3. 日本語の語彙
  4. 日本語の文法
  5. 日本語の文字・表記
  6. 日本語の位置

「ここからはじめよう」という例題からはじまり、説明があったあと、「広げよう・深めよう」のコーナーでそのトピックについてさらに学ぶこともできます。章の最後には「課題」も提示されています。

日本語学の基礎について体系的に学ぶにはいいと思います。

新しい日本語学入門 ことばのしくみを考える

  • 庵功雄. 新しい日本語学入門: ことばのしくみを考える. スリーエーネットワーク, 2012.

 

カバーする内容は以下のとおりです(全部で25章にわかれています)

  1. 言語学の1分野としての日本語学
  2. 音声・音韻
  3. 形態論
  4. 文法(格、文の構造と文法カテゴリー、主題と主語、ボイス、自動詞と他動詞、時間を表す表現(テンス・アスペクト)、モダリティ、とりたて、複文、名詞修飾、「のだ」、「は」と「が」)
  5. 談話・テキスト
  6. 敬語・方言・さまざまなバリエーション
  7. 日本語教育文法
  8. コーパス

文法の説明がかなり丁寧にされている印象です。

日本語教育に有用な知識も多く含まれているので、日本語教育を学ぶ人向けの日本語学概論の教科書としておすすめです。

談話・テキストや方言、コーパス、日本語教育文法などのトピックもカバーしています。大学院の受験対策でも使われているようです。

 

緑の日本語学教本

  • 藤田保幸. 緑の日本語学教本. 和泉書院, 2010.

カバーする内容は以下のとおりです。

  1. 言語と人間
  2. 日本語の音声・音韻
  3. 日本語の文字表記
  4. 日本語の語彙
  5. 日本語の文法
  6. 日本語の方言
  7. 日本語の位置

カバーしている内容は「新ここからはじまる日本語学」と似ていますが、授業での説明を前提として、説明は簡潔に抑えられています。

量が多くないので、日本語学を専攻しない学生向けの日本語学入門の授業などでは使いやすいと思います。

「検討課題」という課題も随所に設けられており、学生が各テーマについて考えられるようになっています。

巻末には復習問題もついています。

 

 

基礎日本語学

  • 衣畑智秀(編)基礎日本語学. ひつじ書房, 2019.

日本語学の諸分野についての基礎事項を中心にしっかり学べるというのが特徴の本です。

カバーする内容は以下のとおりです。

  1. 現代日本語の音声と音韻・音韻の歴史変化
  2. 現代日本語の文法・文法の歴史変化
  3. 現代日本語の語彙・語と語彙の歴史的変化
  4. 文章論と談話分析
  5. 文体差と文体史
  6. 言語の変異と諸方言
  7. コーパスと統計
  8. 理論的研究とは?
  9. 日本語学史

コーパスや理論的研究、歴史研究についても触れられていて、充実の内容だと思います。

重要な語句が太字にされていたり、各章末に読書案内もあるので、この本から日本語学の各分野にアプローチできるようになっています。

日本語学を専攻する学生向けの日本語概論でおすすめです。

 

まとめ

学部生向けの日本語学概論で使えそうな本を探してみました。

何かのお役に立てれば幸いです。

興味のある方は以下もご覧ください。

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