Ohta (1994)の日本語クラスでの終助詞の使用について

今回読んだ論文について

外国語のクラスでの会話というのは、特に教室外でその言葉に触れるチャンスがない学生にとっては、非常に重要な学びの場になってきます。

今回読んだ以下の論文では、アメリカの大学での初級レベルの日本語クラスでの終助詞の使用を調べていました。

  • Ohta, Amy Snyder. “Socializing the expression of affect: An overview of affective particle use in the Japanese as a foreign language classroom.” Issues in Applied Linguistics 5.2 (1994).

 

Ohtaは以下のような本も出版しています。

  • Ohta, Amy Snyder. Second language acquisition processes in the classroom: Learning Japanese. Routledge, 2001.

↑タイトルから見ると、今回読んだ論文の内容もこの本に含まれているのかなと思います。

  • Mori, Junko, and Amy Snyder Ohta, eds. Japanese applied linguistics: Discourse and social perspectives. Continuum, 2008.

 

教師の助詞の使用

この論文によると、バーやレストラン、リビングルーム、カフェなどで収集された普通会話に比べ、教室内での会話では、終助詞(この論文では「affective particles」といっていました)の使用が非常に少なかったそうです。

普通会話では、平均して発話(intonation unit)の43%に終助詞が使われていたのに対し、教室会話の平均は、12%だったとのことです。

また、教室では使われている助詞の種類も少なく、教室では「ね」が使用される終助詞の86%を占めていたのに対し、普通会話で「ね」は26%にすぎず、「の」「さ」「よ」「な」「かな」など、他の助詞も使っていたようです。

データを収集したのが初級レベルのクラスだということにも関係していると思いますが、教室だと、教師側も少し不自然な話し方をすることが多いように思います。教室で学習した日本語学習者は、終助詞の習得が遅れるという研究がありますが(この前紹介したSawyerなど)、そもそも教室内で終助詞を聞く機会・使う機会がないということも一因なのかもしれないと思いました。