第二言語教育と外国語教育の違いについて(ESL&EFL/JSL&JFL)

第二言語教育と外国語教育の違い

言語教育では「第二言語教育(second language education)」と「外国語教育(foreign language education)」を分けて考えることが多いです。その違いは、学んでいる言語が、居住している地域で話されているか、話されていないかで区別されています。

この2つを分ける理由としては、クラスの構成や学習者の背景、学習目的が、この2つで異なることが多いため、教師側は違うストラテジーを選ぶ必要があるからというのが主な理由なようです。

 

第二言語教育

第二言語教育とは、学習言語が使われている地域でその言語を学ぶことです。

例えば、アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール等の英語圏で英語を学ぶ場合、教室外でも英語が使われているので、第二言語として英語を学ぶということになります。

第二言語として英語を学ぶ人を、「ESL(English as a second language)(第二言語としての英語)学習者」と言います。

日本で日本語を学ぶ場合、日本語が母語でない人も第二言語として日本語を学んでいるということになります。こういう人を「JSL(Japanese as a second language)(第二言語としての日本語)学習者」と呼びます。

 

全体的な傾向として、第二言語教育の場合は、クラス内で学生の母語や国籍が違う場合が多いです。

例えば、アメリカの語学学校などの場合、様々な母語・国の人が集まり、クラスの共通語が「英語」しかないことなどから、初級でもすべてクラスを目標言語である英語で行うことも多いと思います。

また、目的も日常生活を送るために言語学習が必要になる場合が多いです。さらに、教室外でも言語に接することができますし、言語を学ぶモチベーションも維持しやすいため、一般的に上達も早い傾向にあるようです。

 

 

外国語教育

外国語教育とは、学習言語が話されていない地域でその言語を学ぶことです。

 

例えば、日本で英語やその他中国語、フランス語等を学ぶ場合、「EFL(English as a foreign language)(外国語としての英語)」、「CFL(Chinese as a foreign language)外国語としての中国語」、「FFL(French as a foreign language)(外国語としてのフランス語)」を学ぶことになります。

また、海外で日本語を学んでいる学習者は、「JFL(Japanese as a foreign language(外国語としての日本語)」を学んでいることになります。

外国語教育の場合は、クラス内で学習者の母語・国籍が同じ場合が多いです(ただ、最近は人の移動が増えているので、そうでないケースも多いと指摘もされています)。

なので、教師も学習者の母語を使って文法の説明などをすることがよくあります。例えば、日本の英語教育の場合は、教師が英語の文法を日本語で説明することもよく見られます。

また、日本語母語話者だと「r」と「l」が区別しにくいなど、母語の影響による間違いも、学習者間で共通していることが多いです。

学習目的は、個人の興味・関心や、学校教育のカリキュラム上の要請等で学ぶ場合が多いと思います。

また、教室外でその言語を使う機会が少ない場合が多いことなどから、モチベーションの維持が一般的に難しいようです。

 

まとめ

言語教育ではこの2つを分けることが多いのですが、上記にも述べたとおり、最近は外国語教育の場合でも、移民が多い地域などでは、クラス内の学習者の母語・文化背景が多様なケースも多々あるので、なかなか一般化はしづらいと思います。

また、外国語学習者であっても、インターネットを通して学習言語に接することができる機会が増え、外国語学習者は「教室外でその言語を使う機会が少ない」というのも当てはまらないケースが増えているようです。