Asif AghaのEnregistermentの概念について

Asif Aghaについて

Asif Aghaはペンシルバニア大学の人類学の教授です。

  • Asif Agha (2006).  Language and Social Relations. Cambridge University Press. 

↑この本、随分前に読んだのですが、個人的にはとても読みづらかったのを覚えています。

 

Enregistermentとは

この中でenregistermentという概念を使って、いかにある言葉遣い等が、あるタイプの人のキャラクターと結びつけられるようになったかというプロセスについて説明しています。

 

Aghaの挙げるenregistermentの定義は以下ののようなものです(上記の本のp. 55)。

processes whereby diverse behavioral signs (whether linguistic, non-linguistic, or both) are functionally reanalyzed as cultural models of action, as behaviors capable of indexing stereotypic characteristics of incumbents of particular interactional roles, and of relations among them. 

多様な行動サイン(言語・非言語、その両方を問わない)が機能的に行動の文化モデルとして、つまり、ある相互行為的な役割を担う者やその人たちの関係性に関するステレオタイプ的な特性を指標できる行動として再分析されされるプロセス

和訳をしてもよくわからないですね・・・。

 

RPの例

でも、例をあげると、わかりやすくなるのではと思います。

上記の本の4章で、AghaはReceived Pronunciation (RP)がどのように生み出され、今の地位を獲得したかを説明しています。

Received Pronunciation (RP)というのは、イギリスの「標準発音」(BBCなどで使われている英語です)で、権威がある発音と言われています。

英語を学ぶとき、BBCの発音を真似する人も多いですよね。

 

RPというのは昔は、16世紀の南東イングランドの上流階級の人が使っていた言葉だったそうです。当時はその地域の上流階級が使っていただけだったわけで、南東イングランド全体に普及していたわけでも、ましてや現在のようにイギリス全土で今の地位を得ていたわけではありません。

ただ、これが辞書や、発音の指南書・ハンドブック、小説、雑誌、学校教育などを通して、どんどん「エリート・上流階級の言葉」として普及し、人口に膾炙し、今の権威を獲得するようになっていきます。

 

 

このように、ある発音(やそれを使う人の振る舞い)が、ある特定のステレオタイプ(「上流階級」「エリート」など)として社会的に認められるようになるプロセスのことをenregistermentと呼んでいます。

 

女ことばの例

日本語だと、「女ことば」もenreigstermentの例に挙げられると思います。

 

Inoue (2006)の女ことばについての「Vicarious Language」を読んでいます①

↑詳しくはこちらの記事をご覧ください。

 

女ことばは、明治時代に女学生がつかっていた「○○てよ」「○○だわ」という「てよだわ言葉」から来ているそうです。

女学生の間の言葉でしかすぎなかった「てよだわ言葉」が、日本の近代化とともに、日本の小説や女性雑誌などを通して語られていくことで女性語として構築され、消費されていったといわれています。

このようにある言語特徴が、女ことばとして確立していくプロセスもenreigstermentといえると思います。

 

まとめ

RPについては、上記のAghaの本に詳しく書いてあるので、興味のある方は原書をお読みください。

少しでもお役に立てればうれしいです。



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