「~に関して」と「~をめぐって」の違いについて

参考本

「~に関して」と「~をめぐって」の違いについて調べました。主に参考にしたのは以下の本のp. 128-131です。

  • 増田 アヤ子 (2011) マンガで学ぶ 日本語上級表現使い分け100. アルク

↑学習者が使い分けにくい表現50組(計100)について、漫画を使って説明しています。イラストがあるので見やすく、読みやすいです。

それから、下記の日本語能力試験2級のp. 32の記載も参考にしました。

  • 友松悦子他 (2011)  新完全マスター文法 日本語能力試験N2 スリーエーネットワーク

↑この新完全マスターシリーズは文法の説明が詳しいので、日本語能力試験を受ける学生に人気があります。

 

~をめぐって

「~をめぐって」というのは、何かの問題のために、議論したり、争ったり、対立したり、噂したりするときに使います。

  • 新たなビルの建設をめぐって、議会がもめている
  • 外国人材の受け入れを拡大するための法案をめぐって、与党と野党の意見が分かれている。
  • 地球温暖化問題をめぐって9日に会議が開かれる

「議論する」「もめる」「争う」など、複数の人が関与する動詞の文が来ることが多いです。

 

また、動作の主体も「与党」「野党」「議会」「会議参加者」など、複数の人の場合が多いです。

例えば、動作の主体が「私」「●●さん」のように1人の場合は、「~をめぐって」はあまり出てきません。

  • この問題に関して(×をめぐって)、知識を深めたいと思っている。
  • この問題に関しては(×をめぐって)、私の方からご説明したいと思います。

さらに、「~をめぐって」は硬い言葉なので、新聞などでよく使われます。

 

~に関して

「~をめぐって」の後は、「議論」「争い」「対立」などの動詞の文がよくきますが、「~に関して」の場合は、「調べる」「説明する」など、情報を得たり発したりする動詞がくることが多いです。

  • これから温暖化問題に関して発表します。
  • このソフトウェアの推奨動作環境に関しては 、こちらのリンクをご覧ください
  • 今回の事件に関して、詳しいことがわかれば教えてください。

「に関して」の前は「温暖化問題」、「事件」など、内容・テーマを表す言葉がつきます。関連項目も含む大きなテーマを表す言葉につくことが多いようです。

「~に関して」も硬い言葉なので、新聞や論文などでよく使われます。

 

 

 

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