モチベーション研究の変遷③:Dörnyeiのプロセス重視のモチベーションモデル

Dörnyeiの研究

2000年以後のモチベーション研究の紹介をする前に、Dörnyeiの研究についても紹介します。

Dörnyeiはモチベーション研究で非常に有名な研究者で、プロセス重視のモチベーションのモデルを提唱しています。

  • Dörnyei, Zoltán. Motivation strategies in the language classroom. Ernst Klett Sprachen, 2008.

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和訳も出ています。

  • ゾルタン・ドルニェイ (2005) 動機づけを高める英語指導ストラテジー 35. 米山朝二・関昭典 (訳), 大修館書店.

 

Dörnyeiのプロセス重視のモチベーションモデル

Dörnyeiは、学習者に適切に動機づけを行うためには、学習段階別に適切に動機づけをさせることが大切と考え、学習段階別に3つの種類のモチベーションを提唱しました。

  1. 選択動機づけ(Choice motivation)
  2. 実行動機づけ(Executive motivation)
  3. 動機の振り返り(Motivation retrospection)

Dörnyeiはこのそれぞれの段階ごとに必要なストラテジーなども提示しています。

選択動機づけ(Choice motivation)

選択動機づけは、学習を行う前の段階の動機付けです。この動機付けは学習を始めるための動機づけです。

ここでは、動機の最初に目標を決めたり、実際に行動に移していくことが必要になります。

例えば、「旅行にいくから、そのときに話せるように〇〇語を勉強したい」と、目的を考えることなどがこの段階の動機付けです。

実行動機づけ(Executive motivation)

実行動機づけは、実際に学習をしている段階での動機づけです。この動機づけは学習を維持するための動機付けです。

その時々でタスクを設定し、自分の学習を維持・評価することが入ります。

例えば、「今日はこの単語を覚えよう。覚えたかどうかは自分でテストしてチェックしよう」などその時々でやることを決めて実施していくことが入ります。

動機の振り返り(Motivation retrospection)

動機の振り返りは、さらに意欲的な学習を促すために、自分の学習を振り返ることです。

ここでは、うまくいったことやいかなかったことを評価し、必要な場合はストラテジーなどを修正し、次の学生につなげていくことが含まれます。

まとめ

このDörnyeiのモデルは学習段階ごとに適切な動機づけを行うために有効でした。

ただ、Dörnyei自身が、日々の学習者の気分によってモチベーションも変化することや、一口に「目標」といっても大きいものから小さいものまでさまざままなこと、また、様々なレベルの学習が同時に行われていることなどから、自分のモデルを批判もしています。

 

そして、後になって、「Self(自己)」という概念に着目したモチベーションモデルを提唱します。

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