マルチモーダル理論におけるmodeとmediumの違いについて

マルチモーダル理論とは

マルチモーダル理論については、以下の記事をご覧ください。

マルチモダリティに関するKressの本を読み始めました。

↑といってもあまり書いてないですが…。いつか時間のあるときに、わかりやすくまとめられればと思います。

 

主に参考にしたのは以下の本のp. 21-22です。

  • Gunther R.. Kress, and Theo van Leeuwen. Multimodal discourse: The modes and media of contemporary communication. Arnold, 2001.

 

mediumとは

メッセージを生成するために使われる物質的なリソースのことをmediumと言っています(Kress and van Leeuwen 2001, p. 22)。

これは使用される道具と、使われる物質のどちらもが含まれます。

 

例えば、油絵を描くときに使う、油絵具や筆のような道具やキャンバスはどちらもmediumになります。写真を撮るときのカメラもmediumです。

会議でプレゼンをする場合だと、コンピューターやスクリーン、プロジェクターなどがmediumになると思います。

 

それだけでなく、映画や新聞、書籍、ウェブサイト、ラジオなどのメッセージを伝えるための媒体も一般的にmediumと呼ばれるようですね。

例えば、本を出版する際は、本を作るときに必要な紙やインクもmediumですし、実際にできた本そのものもmediumになるということかと思います。

 

modeとは

modeは、実際に意味を作るための記号資源(semiotic resources)のことを言うようです。なお、modeは日本語だと伝達様式と言われることもあります。

記号資源というとわかりにくいので、具体例を見てみると、modeには一般的に以下のようなものが含まれます(New London Group 1996)

  • 言語(スピーチ・ライティングなど)
  • 音声(音楽、サウンド効果など)
  • 視覚(画像、動画など)
  • ジェスチャー(目線、姿勢、身振り手振りなど)
  • 空間(設置位置やレイアウトなど)

例えば、会議でプレゼンする場合だと、コンピューターやスクリーン、プロジェクターなどの物質的媒体(medium)を使って、スピーチなどの言語情報、ジェスチャーなどの非言語情報、パワーポイント上の言語情報・視覚情報などを用いて意味を作っていると考えられます。

 

本の場合は、記述された言語、イラストなどの視覚情報、行間やレイアウトなどの空間情報を使って意味を構成していると考えらえます。

何かの意味を作るときは、数あるmodeから選択したり、組み合わせたりして意味を構築していきます。

 

まとめ

Mediumとmodeについて用語を整理してみました。

mediumはメッセージを生成する際に使われる物質的媒体のこと、modeはメッセージを作るための伝達様式という使い分けをしているようです。