SLA(第二言語習得)の歴史的変遷②:1980年代の発展(普遍文法)

SLAとは

SLAとはSecond Language Acquisition(第二言語習得)の略です。1960年頃から活発に研究されるようになった分野です。

このSLAの歴史的変遷について、以下の4つの時代に分けて説明します。

(記事自体は計8記事で記載します。各番号をクリックすると、該当する記事にアクセスできます)

  1. 1960年代・1970年代~:黎明期(
  2. 1980年代~:SLA研究の発展(
  3. 1990年代~:社会的アプローチ・認知的アプローチ(
  4. 2000年代~:多様化の時代(

今回は1980年代の発展期についてです。

この時代はSLA研究が発展しますが、主な研究としては以下のようなものがあります。

(勿論、この4分野も重なるところもあり、厳密に分けるのが難しいのですが)

このうち、この記事では「普遍文法」について紹介します。

 

普遍文法関連の研究

まず、盛んに研究されたのが、普遍文法(Universal Grammar)関連の研究です。

 

普遍文法(Universal Grammar)はチョムスキーが提唱したもので、人間がそれぞれの生まれ育った環境の言語を獲得するのができるのは、生まれながらにそういう言語機能を持っているからだというものです。(p. 104)

 

↑チョムスキーの理論については日本語で入門書なども出ているようです。

 

この立場からすると「語順がある」「主語がある」など言語には共通する原理があります。

言語間の違いというのは、語順が「主語・動詞・目的語」の順か「主語・目的語・動詞」の順か、「主語が省略できるか」「主語が省略できないか」などのパラメーター(変数)の違いによるものです。

 

第二言語を学ぶ場合は、新しくパラメーターを設定しなおさなければならないと考えられますが、その際に第一言語と同様に普遍文法の制約を受けるのか、といったようなことが研究課題になります。

 

普遍文法関連の研究

普遍文法関係の研究としてはWhiteやGassなどが有名です。

  • Gass, Susan. “A review of interlanguage syntax: Language transfer and language universals.” Language Learning 34.2 (1984): 115-132.

 

  • White, Lydia. 2003. Second language acquisition and Universal Grammar. Cambridge University Press

 

まとめ

1980年頃に研究されていたテーマのうち、普遍文法について紹介しました。

次の記事では語用論について紹介しようと思います。