「とはかぎらない」と「わけではない」の違いについて

「とはかぎらない」と「わけではない」の意味

「わけではない」の意味

「とはかぎらない」と「わけではない」の違いについて調べてみました。

まず、2つの意味を確認していきます。

 

「わけではない」というのは、その状況から一般的に導き出せる結論を否定するときに使います。

 

例えば、

  • Aさんは飲み会が好きだ。

という場合、一般的には「Aさんはきっとお酒が好きなのだろう」という結論が導き出せるのではと思います。

 

「わけではない」を使うと、以下のようにその一般的な結論を否定します。

  • Aさんは飲み会が好きだが、お酒が好きなわけではない

 

 

他の例も見てみます。

 

  • Aさんは日本に20年住んでいる

 

という場合、一般的には「Aさんは日本語が上手だろう」「日本のことをよく知っている」という結論が導き出せるのではと思います。

これを否定する場合に

  • Aさんは日本に20年住んでいるが、日本語が上手なわけではない
  • Aさんは日本に20年住んでいるが、日本のことをよく知っているわけではない

 

というように使います。

 

「とはかぎらない」の意味

「とはかぎらない」とは「not always」と英訳されたりしますが、ほとんどそうだが、例外もあるという意味で使われます。

 

例えば、以下のようなときに使われます。

  • 新聞に書いてあることが真実とは限らない
  • 力士がみんな太っているとは限らない

 

「とはかぎらない」と「わけではない」の違い

①「私(たち)」が主語のときは「とはかぎらない」は使えない

 

以下の文を見てみてください。

  • ?私は飲み会が好きだが、お酒が好きとは限らない
  • ?私は毎日図書館に行っているが、本を読んでいるとは限らない

三枝・中西(2003, p. 9)によると「私(たち)」が主語になると、「とはかぎらない」を使うと不自然に聞こえるときが多いです。

 

 

ただ、「みんな」「いつも」など全部を表すことばが伴えば使えるようです。

  • 私は毎日図書館にいっているが、いつも本を読んでいるとは限らない
  • 私は飲み会は好きだが、いつもお酒を飲んでいるとは限らない

 

また、話し手がよく知っていることを話すときも「とはかぎらない」は使いにくいようです。

 

②「わけではない」が使えない場合

三枝・中西(2003, p. 9)よると「わけではない」は、文脈が不十分で推論がないときや、単に例外があることをいいたいときは使いづらいようです。

上記に述べた通り、「わけではない」は、ある状況から一般的に引き出せる結論を否定するときに使うので、その「ある状況」が明らかでないとわかりにくくなるということかと思います。

 

例えば、

  • ?世界1位の選手が勝つわけではない
  • ?Aさんが日本語が話せるわけではない

と突然言われても、前提条件がないので、??となる人もいるかと思います。

 

もう少し前提条件をつけると「わけでもない」が使いやすくなるかと思います。

  • 世界1位の選手は強いが、いつも勝つわけではない
  • Aさんは日本に10年間住んでいるが、日本語が話せるわけではない

 

まとめ

「とはかぎらない」「わけではない」の違いについて紹介しました。

どちらも使えるときも多いので、違いを知りたくなる学習者も多いようです。お役に立てればうれしいです。