テストの分類:到達度テスト/熟達度テスト、直接テスト/間接テスト、主観テスト/客観テスト

言語テストの分類

言語テストは様々な観点から分類することができます。

今回はよく使われる以下の3つの分類について紹介したいと思います。

  • 到達度テスト/熟達度テスト
  • 直接テスト/間接テスト
  • 主観テスト/客観テスト

 

 

到達度テスト/熟達度テスト

まず、到達度テスト・熟達度テストについて説明します。

これはテストが測定する内容に着目した分け方です。

 

到達度テスト(achievement test)

到達度テストとは、学習者が学んだことをどれだけ習得したかを測るテストのことです。

授業で学んだ学習項目の理解をチェックするような中間試験や学期末試験は到達度テストになります。

 

熟達度テスト(proficiency test)

熟達度テストとは、英語の「proficiency(能力)」ということばからわかる通り、その人の能力を測るテストのことです。

日本語能力試験や、英語のTOFELやIELTSなどはこの熟達度テストに含まれます。

熟達度テストは、特定の教科書などをベースにはしていません。その時点で学習者ができること・できないことを測ります。

 

 

直接テスト/間接テスト

次に、直接テスト・間接テストについて説明します。

これはテストの測定方法に着目した分け方です。

 

直接テスト(direct test)

直接テストとは、測定したい技能を実際に学習者に行わせるテストのことです。

 

以下のような例があります。

  • スピーキング力を測るために、学生と一対一でインタビューをする。
  • プレゼン能力を測るために、学生にプレゼンを課題として課す
  • 作文力を測るために、学生に作文の課題を与える

 

直接テストは、スピーキング力を測るために実際に学生と会話するなど、オーセンティックな(実生活に近い)課題を使っているのが特徴です。

直接テストは直接技能を測れるという利点もありますが、評価者によってばらつきが出る可能性も高く評価の信頼性の問題などの検討が必要になります。

 

間接テスト(indirect test)

間接テスト(indirect test)は、測りたい技能を実際に行わせることなしに、間接的に測定するものです。

以下のような例があります。

  • スピーキング力を測るために、会話のダイアローグを見せ、正しい答えを四択問題で選ばせる
  • 作文力を測るために、語句を並べ替えて文を作るテストや、穴埋め問題などを課す

 

間接テストでは、実際に学習者が話したり、作文を書いたりしていないので、間接的にスピーキング能力や作文能力を測っていると考えられます。

間接テストは、評価の真正性(実生活で受験者が直面する課題を反映しているか)の問題があるといわれます。

 

主観テスト/客観テスト

最後に、主観テスト・客観テストについて説明します。

これはテストの評価形式に着目した分け方です。

 

主観テスト(subjective test)

主観テストとは、答えが1つ以上あるような、採点者が主観的に評価するテストのことです。

作文やプレゼンテーションなどは主観テストの例です。

作文やプレゼンテーションの採点になると、「一つの答え」は存在せず、評価の際には、評価者の主観がある程度は入ってきます。

 

客観テスト(objective test)

客観テストは、あらかじめ答えがきまっていて、評価者が客観的に評価するテストのことです。

日本語能力試験は客観テストの例です。

日本語能力試験は、現在は多岐選択によるマークシート方式で行われていますが、正答は決まっており、誰が採点しても結果は同じになります。

 

まとめ

言語テストの分類方法を3つ紹介しました。

参考になればうれしいです。