「小説 琉球処分」読了。ポストコロニアル文学と共通点がたくさんあるなと思いました。

応用言語学とは直接関係ないですが、大城(1968/2010)の「小説 琉球処分」を読みました。明治維新のときに琉球王国が明治政府に併合されていく様子を描いた小説です。小説仕立てなので読みやすいです。もともとは1959年に書かれた本らしいです。

  • 大城立裕(1968/2010) 「小説・琉球処分」講談社文庫

著者の大城は沖縄出身の人で、琉球方言/琉球語も分かると思いますが、琉球の人の言葉は基本的に標準語で書かれていました。でも、琉球独自の呼び名などはあえてそのまま使っているようでした。最初の数ページは沖縄の背景知識の説明に費やされていましたし、明らかに沖縄に関する知識の少ない、沖縄の人以外も含めた広い読者に向けて書かれたものだと思います。

前紹介したTymoczkoのポストコロニアリズム文学についての論文で、「自文化」のことを知らない他者に対して書く小説というのは、翻訳と似ていると書いてありましたが、それと共通するところがあるのかなと思いました。