Linguistic Ethnography Forumのmetrolingualismに関するE-seminarが開催されていました①

Linguistic ethnography forum が何度か紹介したメトロリンガリズム(metrolingualism)(詳しくは前回記事①前回記事②前回記事③)に関するE-seminarを4月に開催していました。

  • Pennycook, A. and Otsuji, E. (2015) Metrolingualism: Language in the City. Routledge

セミナーといっても講演があったわけではなく、英国バーミンガム大学のAdrian BlackageとAngela Creeseを中心に メーリングリスト上で意見を言い合うというものでした。

linguistic ethnography(言語エスノグラフィー)というのは、言語と社会生活は切り離せないという立場をとった上で、特に「言語面」に注目して、人々が日常でどう言語を使っているかを研究する分野のようです。linguisitic ethnographyがどのぐらい盛んかは分からないのですが、このlinguistic ethnography forumの中心メンバーに英国の大学の研究者が多いようなので(2015年4月現在)、英国で活動する研究者の中では知られた理論・手法なのかもしれません。

ちなみにエスノグラフィーというのは人々の日常の社会生活を包括的に理解するための質的研究の手法です(人によって解釈が違うようですが)。

このE-seminarを主催したAdrian Blackledge とAngela Creeseはよく一緒に活動しているようで、以下のような本も書いています。

  • Blackledge, Adrian, and Angela Creese. Multilingualism: A critical perspective. Bloomsbury Publishing, 2010.

この本は数年前に読んだことがありますが、この中でBlackledge and Creeseは「flexible bilingualism」と「separate bilingualism」という概念を提唱していました。「flexible bilingualism」というのはざっくり言うと前説明したtranslanguagingと似ていて、言語と言語の境界線なく自由に二言語を使用するというものです。例えば、「this is what I think でも、違うかも」というように、英語と日本語を同じ会話の中で混ぜて話したりすることを言います。

separate bilingualismというのはその逆で、日本語は日本語、英語は英語ときっちりと分けて使用するというものです。

上記の本の中では、英国の補習校(complementary school)の例を挙げながら、そこに通う生徒は複数の言語をクリエイティブに混ぜ合わせて使っていた(つまり、flexible bilingualismだった)と言っていました。
E-seminarの内容について書こうと思っていたのですが、長くなりそうなのでまた今度にします・・・。