「拍」と「音節」の違いについて

この記事では、「拍」と「音節」の違いについて、紹介します。

拍はリズム上の単位のことです。「モーラ(mora)」ともいわれます。

1拍が同じ時間的長さを持ちます。

 

例えば、

「たなか」だと「た」「な」「か」で3拍

「おとうさん」だと「お」「と」「う」「さ」「ん」で5拍

「チョコレート」だと「チョ」「コ」「レ」「-」「ト」で5拍になります。

 

同じリズムで手をたたき、一回叩く度に音を一つずつ言っていくイメージです。

「たなか」というと3回、「お父さん」「チョコレート」というと5回手をたたくことになると思います。

 

俳句を作るときの5,7, 5も拍に基づくものです。俳句を作るときは、基本は5拍、7拍、5拍の句を作っていることになります。

 

音節

音節は「シラブル(syllable)」のことで、リズムの単位ではなく、母音を中心とした音を区切る単位のことです。

 

どういうことかというと、

「たなか」だとローマ字で書くと「Tanaka」で、母音(「a」)が3つ入っています。

この場合、「Ta」「Na」「Ka」と母音を中心にそれぞれ1つの音節とみなし、3音節となります。

「たなか」の場合は、拍は3拍、音節は3音節で拍と音節は同じ数になります。

 

長音(「-」)・促音(小さい「っ」)・撥音(「ん」)などの特殊拍の場合は、拍と音節の数が変わってきます。

例えば、「おとうさん」だと、ローマ字で書くと「Otosan」で、これを母音を中心としたまとまりで分けていくと「O」「To」「San」の3つにわけられます。

この場合「おとうさん」は音節は3音節になります。拍だと5拍です。

 

「チョコレート」だと「chokoreto」なので「Cho」「ko」「re」「to」の4つにわけられ、4音節となります。拍だと5拍です。

 

日本語・英語の拍と音節

日本語はピッチアクセント(高低アクセント)で「拍」の高さで捉えます。

一方、英語の場合はストレスアクセント(強弱アクセント)で「音節」の強弱でとらえるといわれています。

 

日本語学習者の拍関係の発音の問題としては、特殊拍はやはり誤用が多く、「おばあさん」が「おばさん」になったり、「切手」が「きて」に聞こえたりすることがよくある気がします。

特殊拍については、例えば日本語で「おとうさん」が5拍だとしても、音節では3音節になってしまうので、音節単位の認識に慣れている学習者だと、5拍ということに意識を向けづらいという可能性があると言われています。

 

まとめ

音節と拍についてまとめました。

興味のある方は以下の記事もご覧ください。

 

日本語の音声に興味のある方は以下のような本もあります。

  • 松崎 寛・河野 俊之(2018)『日本語教育よくわかる音声』アルク