Hylandのアカデミック・ディスコースの分析:文系・理系論文の書き方の違いについて

Ken Hyland

Hylandはアカデミックな英語や、第二言語のライティングなどで数多く出版しています。

 

今回は以下の動画を視聴しました。

  • Ken Hyland. Innovating instruction: specificity and English in the disciplines. BALEAP Conference 2015. 2015年4月19日 (アクセス日:2020年7月17日)

 

  • Ken Hyland (2019) Academic Discourse and Global Publishing: Disciplinary Persuasion in Changing Times. Routledge 

↑この本にも動画の内容が記載されているようです。

 

今回はその中で面白かった点をいくつかメモします。

 

分野による違い

今回視聴した動画では、文系(art and humanities)と理系の学術論文の違いを分析していましたが、以下のような違いがあったようです。

  • 「I/We」などの使用は文系論文が多い
  • 引用論文数は文系論文が多い
  • 自分の論文の引用数は理系論文のほうが多い
  • 「possible」「might」などのヘッジ表現(hedges)は文系論文のほうが多い
  • 「clearly」「obviously」など強調表現(boosters)は文系論文のほうが多い
  • 指示表現(~しなさい)などは理系論文のほうが多い

 

文系論文のほうに引用論文の数が多いのは、読者が自分の研究の背景知識を共有しているとは限らないため、その説明などが必要になるからと言っていました。

また、文系論文のほうがヘッジ表現を使ったり、自信を示す表現を使ったり、「I/We」を使ったり、主観的な言い方が多いようですね。

 

著者の略歴の違い

また、論文の中に出てくる、著者の略歴の書き方についても分野によって違いがあるようです。

例えば、エンジニアの分野だと自分の大学や出生地などがよく記載されるのに対し、応用言語学だと自分の研究興味などが記載されることが多く、哲学だと自分の出版物を含めることが多いようです。

さらに使われる動詞なども、職位や分野によって違ったようです。

 

まとめ

Ken Hylandの動画について紹介しました。

Hylandはアカデミック・ディスコースに関して「Stance」や「Engagement」という概念も提示しています。興味のある方は以下の記事をご覧ください。

HylandのアカデミックライティングにおけるStanceとEngagementについて