認知言語学者レイコフが概念メタファーを研究しはじめた理由

前回紹介したことばの力学-応用言語学への招待という本の参考文献に以下の動画が紹介されていて、10分ほどの短いものだったので見てみました。

  • Lakoff, George (2009) George Lakoff on how he started his work on conceptual metaphor

この中で有名な言語学者のレイコフ(Lakoff)(前回記事①前回記事②)が、どうして概念メタファーを研究するようになったかを紹介していました。概念メタファーとは、ある対象が直接把握しにくい場合に、別のよくわかっている事象を通して理解するという認知の仕組みです。

彼によると、あるとき女性の学生が泣きながらクラスにやってきて、付き合っている彼に「二人の関係は袋小路(dead end street:つまり出口のない道)」と言われたそうです。

クラスでそのことを話した結果、「愛(love)=旅路(journey)」と捉えて話すことが多いことが分かったそうです。

日本語でもですが、確かに「2人は別の道を行く」とか「一緒に歩んでいこう」とか「いばらの道」とか愛を表現するときに旅路と捉えることが多いと思います。

また、こういった表現を分析していくと、「愛する二人=旅行者」、「共通の人生の目標=目的地」、「恋愛上の問題=道中の障害物」というふうに捉えていることもわかり、数学の関係図ようにきれいに分けることができたそうです。

こういうきっかけで研究がはじまったのかと思うと、日常のいろいろなところに研究のアイディアは散らばっているんだなと思いますね。

  • Lakoff, George, and Mark Johnson. Metaphors we live by. University of Chicago press, 2008.