Mixed-heritage backgroundの継承語学習者のアイデンティティについてのShin (2010)の論文を読みました。

以下のShin (2010)の短い論文を読みました。

  • Sarah J. Shin (2010) “What About Me? I’m Not Like Chinese But I’m Not Like American”: Heritage-Language Learning and Identity of Mixed-Heritage Adults, Journal of Language, Identity & Education, 9:3, 203-219, DOI: 10.1080/15348458.2010.486277

継承語学習者といえば、移民2世、3世などを対象にしたケースが多く、片親がアメリカ人で片親が中国人・日本人などのmixed-heritage background(いわゆる「ハーフ」)の学習者を扱ったものは少ないようです。

この論文では、こういったmixed-heritage backgroundの12名の継承語学習経験やアイデンティティについて、インタビューを通して調査していました。こういうmixed-heritage backgroundの学習者は、2つの祖先・文化背景を持つことから、所属するコミュニティで疎外感(marginalisation)を味わうことも多いようです。(Wallace, 2001, cited in Shin 2010, p. 207)

この12名は継承語の言語能力・学習歴なども随分多様だったようですが、継承語の言語能力が継承語アイデンティティに果たす役割は大きいと思う参加者が多かったようです。

Shinは以下のような本も出版しています。

  • Shin, Sarah J. Bilingualism in schools and society: Language, identity, and policy. Routledge, 2012.