批判的応用言語学で有名なKubotaの講演を視聴しました。

ブリティッシュコロンビア大学のKubotaの講演がアップされていたので見てみました。

Kubotaはクリティカルペダゴジーやクリティカルリテラシーでいろいろ書いていて、何本かですが論文を読んだことがあります。日本語では下記の本のチャプターも書いています。

  • 久保田竜子. “ことばと文化の標準化についての一考.” 佐藤慎司・ドーア根理子 (編)『文化, ことば, 教育―日本語/日本の教育の 「標準」 を越えて』 第 8 章, 明石書店 (2008).

今回私が見た講演は香港の大学で行われたもののようですが、「正しい発音」や「純和食」といった、物事には「正しい」もの「真正なもの」が存在するという本質主義(essentialism)について、例を挙げながら批判しつつ、文化を教える際の4つのDについて説明していました。

  • Kubota, R.(2012) Critical Approaches to Language and Culture: Teaching Foreign Languages

4つのDは以下のとおりです。

  1. Descriptive -文化を 記述的に理解する
  2. Diversity – 文化内の多様性に注目する
  3. Dynamic-流動的に文化を捉える(文化は変わっていくものであり、歴史的文脈から文化的慣習などを捉える必要があると言っています。)
  4. Discursive -言説的(discursive)に文化が構築されていることを理解する。
    (参考:http://www.aatj.org/resources/publications/book/Culture_Kubota.pdf)

例えば、規範的に「日本人は大晦日に年越しそばを食べる」というふうに教えるのではなくて、「例えば日系ディアスポラの人はどう大晦日を過ごしているのか」「大晦日にそばを食べる習慣はどう変わってきているのか、いつからそのような習慣が生まれたのか」などの文化の多様性・流動性を扱うことが大切だということだと思います。

また、さらに多様性・流動性を「事実」として伝えるのではなくて、実際にあるテキストなどをみながら、どういうふうにそのテキストの中で文化について語られているかを記述的に考えていくことも必要だとKubotaは言っています。

年越しそばの例でいうと(ちょっと微妙な例で恐縮ですが)、「年越しそばを食べない人もいます」と「事実」として伝えるのではなく、実際に大晦日にしたことについて書いたブログ記事を学生に調べさせたりすることで、実際にどういうふうにお晦日を過ごしているのかを記述的に考えていくことが必要だということだと思います。