翻訳学の歴史について

昨日、ヤーコブソンの記事を紹介しましたが、同じ本の『翻訳学入門』の第1章のp. 10-26に翻訳学の発展についても記載されており、興味深かったので備忘録用にメモしておきます。詳しくは原文にあたってください。

  • ジェレミー・マンディ(著) 鳥飼玖美子(監訳). “翻訳学入門.” みすず書房 (2009).

原文はこちらです↓(新しい版ですが)

  • Munday, Jeremy. Introducing translation studies: Theories and applications. Routledge, 2016.

翻訳学の発展

翻訳は長く実践されてきましたが、学術分野として発展したのは20世紀後半だそうです。

それまでは文法訳読法という形で言語学習の一環として翻訳は使われてきました。ただ、言語学習が1960年頃からコミュニケーションに重きを置くようになると、翻訳が言語教育における地位を失っていきます。

その代わり、上級レベルの言語コースやプロ翻訳者養成コースで翻訳が使われるようになり、それに伴い、言語教育とは別に翻訳学が発展していったそうです。

翻訳学が分野と発達したのに大きく貢献したのはHolmesの”The name and nature of translation studies (1988)だそうです。

  • Venuti, Lawrence. (Eds.) The translation studies reader. Routledge, 2012.

↑昨日紹介したこの本にも収録されています。

この中で、Holmesは翻訳学の全体的な枠組みを提示しました。

詳しくは本文を見ていただければと思いますが(マンディ 2009, p. 15-18)、「翻訳学」といっても、理論的なものから、翻訳者養成などの応用的なものまであり、カバーする分野はびっくりするほど幅広いです。

また、言語学、比較文学、カルチュラル・スタディーズなど、他の分野との関わりが密接な、学際的な分野であるというのも翻訳学の特徴のようです。(それが逆に「翻訳研究」は自律していない分野なのではという懸念にもなっているようですが)