「にしては」と「わりには」の違いについて

「にしては」と「わりには」

「にしては」と「わりには」についての違いを聞かれたので、調べてみました。

参考にしたのは、以下の本のp. 203-205です。

  • 白川博之, 庵功雄, 高梨信乃, 中西久美子, 山田敏弘. 中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック. ス リーエ ーネットワーク. 2001.

 

「にしては」

話し手が今まで持っていた評価・期待とずれているときに使うようです。

  • バレーボール選手にしては背が低い

という文だと、バレーボール選手に話し手が期待する背の高さより、低かったということになります。

話し手が持っている評価・期待について、上記の白川他 (2001, p. 203)では「Pという前提から一般的に予想される基準・標準」という表現を使っていました。

話し手の評価・期待なので、現実に正しいかどうかわからないときも使えるようです。なので、疑いの気持ちをいうときは「にしては」がよく出てきます。

例えば、以下のときには「わりには」はあまり出てこないようです。

  • A:あれ?柴犬じゃない?
  • B: 柴犬にしては(?のわりには)大きすぎるよ。秋田犬じゃない?

このときは、秋田犬かどうかは自分もわからないが、自分が思う「柴犬」からは少しずれているという疑いの気持ちがあります。

次の例も似たようなものです。

  • このフェンス、風で倒れたにしては(?わりには)様子が変だ。もしかして誰かが意図的に倒したのかもしれない。

自分にとっては少し変だというようなニュアンスでしょうか。

 

「わりには」

「わりには」は逆に、ある状況から常識的/一般的に予想される基準と食い違っているときに使うようです。

  • この本は高いわりには、全然中身がない

この場合、普通の「高い本」から考えられる基準とは食い違っているというニュアンスでしょうあ。

 

でも、これだけだと、よくわからないですね。

「わりには」と「にしては」は置き換え可能なことも多いですが、違いは以下のようなものがあるようです。

  1. 上記のとおり、現実に正しいかどうかわからないとき(疑いの気持ちを表すとき)は「わりに」はあまり出てこない。

「わりに」は以下のように、どちらかというと、その食い違いに対する自分の感想などをいうことが多いようです。

  • このホテルは安いわりにはとてもよかった。
  • (犬を見て)あの犬、犬のわりには、小さい。

 

 

2. 「わりには」の前には形容詞や、尺度や程度を表す名詞、「よく」などの程度の副詞を伴う表現がきます。

「にしては」は形容詞の前には使いません

  • 彼は若いわりには(×にしては)しっかりと考えている

 

「年齢」「身長」「成績」「高さ」などの尺度を表す名詞が前にくるときは、「にしては」は使えません。

  • Aさんは身長のわりには(×にしては)体重が軽い。
  • Aさんは年齢のわりには(×にしては)しっかりしている。

 

文法を教えるときの参考書

以下をご覧ください。

【入門書紹介】日本語文法を教える際の便利な参考書