ジョン・ハッティのVisible Learning(可視化された学習)におけるフィードバック

ジョン・ハッティ(John Hattie)について

ハッティは、2008年に、「Visible Learning: A Synthesis of over 800 Meta-Analyses Relating to Achievement」という本を出版しました。

その中でどの要因が本当に教育効果があるのかを効果量(d)として数値化し、ハッティ・ランキングという順位表を作成したことで名です。

(なお、このランキングの算出方法については、批判もあるようです)

 

ジョン・ハッティ(John Hattie)のVisible Learning(可視化された学習)

↑詳しくはこの記事をご覧ください。

 

今回視聴した以下の動画では、ハッティ・ランキングの中で効果があると言われた「フィードバック」について詳しく説明していたので紹介します。

  • John Hattie (2018) Visible Learning Feedback Webinar. (アクセス日:2020年12月13日)

 

フィードバックとは

フィードバックというと、何を思い浮かべるでしょうか?

学生の課題へのコメントでしょうか?それともクラス内での学生の発言に対する返答でしょうか?

 

ハッティは、フィードバックについて以下のようにいっています。

Feedback is information provided by an agent regarding aspects of one’s performance or understanding that reduces the discrepancy between what is understood and what is aimed to be understood.

フィードバックは、ある主体(例:教師など)が現時点での理解と理解目標の間のギャップを減らすため、(学生の)パフォーマンスや理解に関して与える情報である。

 

適切かつ具体的な目標を立てて、学生がその目標を達成できるように手助けするというのがフィードバックと考えているようですね。

 

フィードバックモデル

ハッティは、教師のできるフィードバックモデルとして、以下の3点を挙げていました。

  • Feed Up:Where are we going? (どこに向かうのか)
  • Feed Back:How am I going (どう向かうのか?)
  • Feed Forward:Where to next (次にどこに向かうのか?)

 

Feed Up

Feed Up(どこに向かうのか)というのは、まず、成功の基準を明確に示すということです。

目標がわからないと達成もできないので、今、学生自身がどこにいるのか、どんな課題があるのか、どこに向かうのかを明確にする必要があります。

過去の学生の例を見せて何がよくて何が悪いのかを示すなどして、成功の基準を一緒に作成していくことが含められます。

 

Feed Back

Feed Back(どう向かうのか?)は、目標達成のためのプロセスに関連しています。

学習プロセスをモニターし、学習者が学習プロセスの中のどこにいるのか示すことなどが含まれます。

 

Feed Forward

Feed Forward(次にどこに向かうのか?)は、さらに学習を発展させることです。

高い課題を与えたり、学習プロセスを自分でコントロールできるようにしたり、同じタスクでも別のストラテジーを見つけたり、深い理解に求めたりすることが含められます。

 

 

フィードバックできるレベル

ハッティはフィードバックができる側面として以下をあげていました。

  • タスクレベル
  • 学習プロセスレベル
  • 自己制御(self-regulation)レベル
  • 自己(self) レベル

 

タスクレベル

タスクレベルは、一番よくあるものだそうです。

タスクをうまく理解し、実施しているかに関係します(できていない場合は修正を促したりします)

 

学習プロセスレベル

実際にタスクを理解・実施するために必要なプロセスに関するものです。

プロセスをちゃんと理解していない場合は、修正を促すことができます。

 

自己制御レベル

学習者が学習を自分でコントロールできているか、自己制御に関するものです。

 

自己レベル

これはその学習者個人の資質に関することです(「〇〇さんは、頭がいいですね」など、基本はポジティブなことが多いようです)。

ハッティはこの個人の資質を褒めることは学習にマイナスの効果を生むこともあるので、フィードバックという観点からは否定的なようです。

褒めるのであれば、学習プロセスやタスクについて褒めることを推奨していました。

 

 

ご興味のある方は

今回視聴した講演の内容は、以下の本にまとめられています。

  • Hattie, John, and Shirley Clarke. Visible Learning: Feedback. Routledge, 2018.

 

また、ジョン・ハッティの著作は日本語にも翻訳されているようです。

  •  ジョン ハッティ (著), 山森 光陽 (訳) (2018) 教育の効果: メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化. 図書文化社

 

  • ジョン・ハッティ・グレゴリー・イエーツ (著),原田 信之 (監修, 翻訳) 教育効果を可視化する学習科学 単行本. 北大路書房