バイリンガリズム研究で著名なJim Cummins(ジム・カミンズ)の講演動画を視聴しました。

ジム・カミンズ(Jim Cummins)はトロント大学の教授で、バイリンガル研究の第一人者の一人です。 継承語教育等にも多大な影響を与えています。

日本語の本でも一冊だけでているようです↓(共著です)

  • ジム・カミンズ、マルセル・ダネシ. “カナダの継承語教育─ 多文化・多言語主義をめざして.” 中島和子/高垣俊之 [訳] 明石書店 (2005).

今回は、そのCumminsの2011年のオーストリアのグラーツでの基調講演がアップロードされていたので視聴してみました。

  • Cummins, Jim (2011) The power of pedagogy: negotiating identities of competence in the language classroom, presented at ECML Conference 2011, 2011年9月30日


この講演では、カナダの移民の子どもの例をあげて、クラスで目標言語(この講演の場合は英語)のみの使用を直接的・間接的に推奨・強制すると、英語力のない学習者/子どもは消極的な役割しかクラスで果たせなかったり、思うような形で自らを表現できなかったりすることがあるといっています。

子供たちや学習者の第一言語(母語)を排除せず、うまくクラス内に組み入れることで、自らを積極的にクラスに参加できるようになり、その結果、自分たちのアイデンティティを肯定的に捉え、目標言語の上達にもつながるのではといっていました。

この講演でも、いくつか母語を取り入れたクラス活動の例を挙げていました。おそらく下記の本にもクラス活動の例などが議論されているのではないかなと思います(まだ読んでいませんが)。↓

  • Cummins, Jim, and Margaret Early. Identity Texts: The Collaborative Creation of Power in Multilingual Schools. Trentham Books Ltd. 2010.