ヴァルター・ベンヤミン(Walter Benjamin)についての備忘録

ドイツの哲学者であるヴァルター・ベンヤミンは、トランスレーション・スタディーズではよく取り上げられるのですが、あまりよく知らなかったため、少しですが調べてみました。(原文に当たったわけではありませんので、ご注意ください。)

参考にしたのは、以下の本です。

  • 柿木伸之(2014)『ベンヤミンの言語哲学 ─ 翻訳としての言語、想起からの歴史』平凡社

ベンヤミンは、翻訳を広くとらえていて、言葉を発すること自体が翻訳と捉えていたようです。

これについては、ずっと前に紹介したPazHanksとも似ていますね。

また、いわゆる「言語間」翻訳については、外国語のテキストを翻訳することによって、既存の言語が新たに形作られていくともいっているようです。明治時代に英語の翻訳を通して「社会」「哲学」といった言葉が日本語にもたらされ、日本語が変化しましたし(詳しくはこちら)、現在も英語等の影響を受けたカタカナ語の普及などで日本語はどんどん変化していますが、そういうことを言っているのかなと理解しました。

ベンヤミンは、読み手の読みやすさを考え、原文のわかりづらい部分を読み手に合わせて変えてしまう、いわゆる「domestication(同化)」アプローチには批判的だったようですね(domesticationについては詳しくはこちら

勿論ベンヤミンは他にも多くを言っているようですが、とりあえず私が理解したのは上記ぐらいです。。。

余裕があるときにベンヤミンの原書にも当たってみたいですね。和訳もかなり出ているようです。

  • 三ッ木道夫(編・翻訳)(2008)『思想としての翻訳——ゲーテからベンヤミン、ブロッホまで』白水社.