Indexicality(指標性)とは何か

参考にした本

参考にしたのはOchsの論文です。

  • Ochs, Elinor.  “Linguistic Resources for Socializing Humanity.” Rethinking Linguistic Relativity, ed. by J. J. Gumperz and S. C. Levinson, 407–437.

Ochsは有名な言語人類学者で、Language Socialization(言語社会化)の分野の第一人者です。

 

Indexicalityとは何か?

Indexicalityは日本語では捉えづらい概念だと思うのですが、要するに「ある文法や、アクセント、単語などを使うことにより、別のことを指し示す」という意味だと理解しています。

「ある文法や、アクセント、単語などを使うことによりあらわれる、言外の意味」に近いかもしれません。

 

例えば、尊敬する人に対して、敬語を使って話すと、「私はあなたのこと尊敬しています」と言わなくても、敬語使用そのものが、自分のその尊敬する人に対する「尊敬」の気持ちや、尊敬する人と自分との役割関係を指し示すということになります。

 

 

Indexicalityは「Index(インデックス)」から来ています。

パース(Peirce)の記号の種類:icon(アイコン)、symbol(シンボル)、index(インデックス)

↑こちらを読むともう少しわかりやすくなるかもしれません。

 

言語のIndexicalityの例

言語のIndexicalityは以下のとおり多岐にわたります。

 

  • 社会的アイデンティティ

上記にも書いたように、敬語の使用・不使用により、自分の相手との社会的立場などの社会的アイデンティティを示すこともできます。

また、あえて「~だわ」「~なの」というと「女性っぽい」アイデンティティを指し示すことができますし、若者言葉をたくさん使うと自分が「若者です」といわなくとも、若者というアイデンティティが示されることになります。

アクセントもそうです。例えば関西のアクセントで話している人がいると、別に本人が「関西出身です」といわなくても、それが指し示されることになります。

 

  • 社会的行為(social act)

社会的行為とは、「要求」、「オファー」、「アドバイスする」、「褒める」、「けなす」などなど何か目的を持った行動のことです。

例えば、日本語でいうと「~ほうがいいですよ(たばこをすわないほうがいいですよ等)」というと、「私は今あなたにアドバイスしていますよ」と言わずとも、アドバイスという社会的行為が指し示されていることになります。

 

  • 情意的立場(affective stance)

情意的立場は、感情や気持ち(その強さの度合いを含む)のことです。

例えば「すごくすごく」とたくさん入れると、気持ちが高まっているんだなということが、別に「今すごく気持ちが高まってる」など言わなくてもわかります。

 

  • 認識的立場(epistemic stance)

認識的立場は、ある事柄に対する知識や信念(その度合いも含む)のことです。

例えば、「絶対に~と思う」というと、「あ、結構強く思ってるんだな」、「たぶん」を使うと、「あまり自信がないんだな」とか、「~と言っていた」というと、「あ、自分の意見じゃないんだな」とかいうことが指し示されることになります。

 

  • 時間や場所 

例えば、「ここ」「そこ」とある会話の中でいったときに、「ここ」「そこ」という単語はどこかの場所を指し示しています。

なお、文脈がないと、「ここ」といっても、どの場所を指し示しているのかわかりません。文脈があってこそ、何を指しているかわかります。

 

まとめ

もちろん、こういったindexicalityは、実際に発話された文脈とともに考えなければならず、例えば同じ敬語でも、あえて親しい人に使った場合などは、尊敬の意味を指し示すのではなく、皮肉の意味が指し示されたりします。

なので、indexicalityについて考えるときには、かならずどういう状況でその発言がされて、その発言によりどういった言外の意味がうまれるのかを考える必要があるかと思います。

 

 

 



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