概念メタファーとは何か

参考にした本

参考にしたのは以下の本です。

  • 籾山洋介. 日本語研究のための認知言語学. 研究社, 2014.

↑数年前に読みましたが、わかりやすく認知言語学の概念などを紹介していて、よみやすかったです。

 

  • Lakoff, George, and Mark Johnson. Metaphors we live by. University of Chicago press, 2008.

↑メタファー研究の嚆矢となった本です。

  • ジョージレイコフ・マーク・ジョンソン「レトリック人生」大修館書店
↑和訳も出ています。

 

概念メタファーとは

認知言語学でいう「メタファー(比喩)」とは、文学技法として文章表現をわかりやすくするための比喩とは違います。

 

概念メタファーとは、ある概念領域を別の概念領域を通して理解するという認知の仕組みです。

特に、ある概念が直接把握しにくい場合に、別のよくわかっている概念を通して理解することが多いようです。

 

上記の籾山の本に載っていた例だと、以下のようなものがあります。

  1. 大きな荷物を抱えて歩くのは大変
  2. 不安を抱えて生きていく

1のほうの「荷物を抱える」は自らが身体を通して直接触れることができる具体的なものです。

この「抱える」を「荷物」という具体的なものだけでなく、2の文のように、「不安」という抽象的な概念にも転用することができます。

こう転用することにより「不安」という直接把握しにくい概念を、理解できます。

 

また、「ジュースを飲む」という「飲む」という動詞が、「条件を飲む」「要求を呑む」というように「条件」「要求」などの抽象的概念にも使われるのも概念メタファーの例です。

 

レイコフ・ジョンソンの本で挙げられていた例では、「時間」が「金」に例えられるといっています。

日本語でも「時間」についていうときに、「浪費」「稼ぐ」など「お金」に関する表現を使うことがあります。

  • 多くの時間を費やす
  • 時間を浪費する。
  • 時間を稼ぐ
  • 時間を失う

これも「時間」という、形がなく抽象的な概念を、「金」という具体的な概念を使って理解しているといえます。

 

レイコフ・ジョンソンの本では、その他の概念メタファーの例として「議論(argument)」がよく「戦争」に例えられるといっています。

日本語でも「議論」について話すときに、以下のように、議論の相手を「敵」とし、「争い」で使う表現を使うことがあります。

  • 相手と意見を戦わせる
  • 議論に勝つ/相手を打ち負かす
  • 論陣を張る

 

こういったようにメタファーというのは広く日常に浸透しているものです。

 

この概念メタファーの言語間の違いに関する研究や、言語学習に生かそうという研究などもあります。

 

まとめ

こういう観点でメタファーを見ると、日常の思考にもメタファーが深くかかわっているのがわかります。

なお、概念メタファーの場合は、例が作為的に抽出されたものであったり、実際にはあまり使われていないものもあるようで、コーパスなどを使って検証する試みもあるようです(詳しくはこちら)。

シネクドキ(堤喩)とメトノミー(換喩)の用語について



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  1. ダイグナンの「コーパスを活用した認知言語学」を読了しました。 – 旅する応用言語学
  2. 認知言語学の第二言語教育への応用に関するBoers (2012)の講演を視聴しました。 – 旅する応用言語学

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