比喩の種類について(直喩・隠喩・諷喩・提喩・換喩・活喩)

この記事では比喩の種類について、①直喩、②隠喩、③諷喩、④提喩、⑤換喩、⑥活喩の6つを紹介します。

直喩(明喩)(simile)

直喩は、「~のような」「~みたいな」などの直接的な表現を使って、わかりやすく例える方法です。

以下のような例があります。

  • 太陽のような人
  • お城みたいなカフェ
  • Aさんは一人では何もできない。まるで赤ちゃんのようだ。

 

隠喩(暗喩)(metaphor)

隠喩は、「~のような」「~みたいな」などの表現を使わずに、あるものを別のもので例える方法です。

以下のような例があります。

  • Aさんは歩く辞書だ。
  • 人生は長い旅だ。

上記の例では「Aさんは歩く辞書のようだ」「人生は長い旅みたいだ」という表現を使わず、直接「Aさんは歩く辞書だ」「人生は長い旅だ」と言っていますね。

 

諷喩(allegory)

諷喩(ふうゆ)は、例えだけを示し、例えられているものが何かを推測させるものです。

以下のような例があります。

  • 歩く辞書によると、この解釈は間違えているそうだよ。

「隠喩」の説明で「Aさんは歩く辞書だ」という例を出しました。このとき「Aさん」が例えられているもので、「歩く辞書」は例えになります。

諷喩は、「歩く辞書によると、この解釈は間違えているそうだよ。」というように、「Aさん」を出さず、「歩く辞書」という例えのみを示すものです。

(もしAさんのことを話者・聞き手が共有していたら、聞き手は「歩く辞書」が何を示すか推測できるでしょう。)

 

  • 井の中の蛙、大海を知らず

「井の中の蛙、大海を知らず」は有名なことわざです。

ただ、「井の中の蛙」「大海」という例えのみが示されており、例えられているものは明示されていません。これも諷喩の例です。

ことわざには諷喩が多く現れます。なお、ことわざや物語で使われる諷喩は、特に寓喩(ぐうゆ)ともいわれることもあります。

 

ちなみに「寓」といえば、「イソップの寓話」は有名ですね。

この「イソップ寓話」は物語全体を通して、例えられているものを示さずに、動物などの例えを通して、ある考え方や教訓を示しているので、諷喩の例と考えられます。

 

提喩(synecdoche)

提喩(ていゆ)は、上位概念を下位概念で、または下位概念を上位概念で表す方法です。

以下のような例があります。

  • スーパーで、卵買ってきて
  • 明日、花見をしよう

「卵」というと、ダチョウ、ヘビなどいろいろな卵が考えられますが、「スーパーで卵、買ってきて」というと、鶏の卵を指すケースが多いと思います。

これは同じ「卵」というカテゴリー内の下位概念(鶏の卵)を上位概念(卵)で表した例です。

 

「花見」についても、「花」はパンジー、チューリップなど様々ですが、「花見」といった時には、桜の花をみるというケースが多いと思います。

これも「花」というカテゴリーの中の下位概念(桜の花)を上位概念(花)で表した例です。

 

換喩(metonymy)

換喩は、何かを表現するとき、その事柄と隣接しているもの(深く関係しているもの)で置き換えることです。

以下のような例があります。

  • 米ホワイトハウスは「数カ月後に追加の交渉に入る」と発表した。

「米ホワイトハウス」というのは、アメリカ合衆国大統領が居住している官邸のことを指します。

建物は発表しないので、「米ホワイトハウス」が意味するところは「アメリカ大統領」または「アメリカ政府」だと思いますが、「アメリカ大統領」または「アメリカ政府」と深く関係している「ホワイトハウス」を使って表現しています。

 

  • もうすぐ鍋が煮える

厳密には、煮えているのは鍋の中の具材なので、鍋が煮えているわけではないのですが、「具材」と深く関係している「鍋」で置き換えて説明しています。

 

シネクドキ(堤喩)とメトノミー(換喩)の用語について

↑なお、提喩と換喩については以前も記事でまとめました。詳しく知りたい方はそちらもご覧ください。

活喩(prosopopoeia)

活喩は、無生物を命があるもののように扱うことです。

以下のような例があります。

  • 空が泣いている
  • 除雪車がうなり声を上げながら走っている

 

まとめ

比喩の種類について紹介しました。まとめると以下のようになります。

  1. 直喩:「~のような」「~みたいな」などの直接的な表現を使って、わかりやすく例えること
  2. 隠喩:「~のような」「~みたいな」などの表現を使わずに、あるものを別のもので例えること
  3. 諷喩:例えだけを示し、例えられているものが何かを推測させること
  4. 提喩:上位概念を下位概念で、または下位概念を上位概念で表すこと
  5. 換喩:何かを表現するとき、その事柄と深く関係しているもので置き換えること
  6. 活喩:無生物を命があるもののように扱うこと

こういった種類を知っておくと便利だとは思いますが、実際の比喩表現を見たときにどの種類に当てはまるのか判断しづらいものも多いです。

また、人によって定義が違うことも多いです。特に、提喩・換喩については、ある人が「換喩」の例として挙げているものを、ある人は「提喩」の例としてあげていることもあるので、注意が必要だと思います。

何かのお役に立てれば幸いです。

 

もっと詳しく知りたい方はレトリックの本などに詳しいと思います。

  • 佐藤信夫(1992) 『レトリック感覚』講談社

 

なお、メタファーは認知言語学では言語使用全般において重要な役割を果たすと考えられています。もし興味のある方は以下の記事もご覧ください。

概念メタファーとは何か