アンケート調査の質問項目を作るときに気をつけるべきこと7つ

アンケート調査

研究でアンケート調査を作成する際に、どう質問を作っていこうか、迷うことはあると思います。

 

質問項目を作るときに気をつけなければいけないことがDoernyei and Taguchi (2009)『Questionnaires in Second Language Research』(p. 41~44)に書いてあったので、紹介します。

 

気をつけること

① 簡単・自然な言葉を使う

なるべく簡単な言葉を使うことです。

ことわざや、略語、専門用語などは避けましょう。

 

② あいまいな言葉・表現、誘導表現は避ける

あいまいな言葉・表現は避けましょう。

例えば、「いい」「たくさん」「ときどき」など具体的でない形容詞・副詞は、人によって基準が違うので避けたほうがいいです。

また、「〇〇と考えるのが合理的だと思いませんか?」などの誘導質問も避けたほうがいいと言っています。

 

③ 否定形は避ける

否定形を処理するのは認知的に負荷がかかり、回答者が間違う可能性も高くなり、質問項目の信頼性が下がります。

「毎日、パソコンを5時間以上しない」という質問より、「毎日、パソコンを5時間以上する」のほうが質問としていいです。

 

④ 両義的な質問は避ける

答えは1つなのに、2つ以上の質問が入っているような項目は避けたほうがいいです。

例えば「あなたは子どもに英語を学ばせていますか」という質問の場合、複数子どもがいて、1人には学ばせているけど、もう1人には学ばせていない場合、答えられません。

 

⑤ 皆が同じように答えるだろう質問は避ける

誰もが肯定するか、否定しそうな質問は避けたほうがいいです。

例えば「コロナウィルスの影響で、マスクをつける頻度が増えた」というような質問は「はい」という答えが圧倒的に多くなることが予測されます。

こういった質問は、統計処理をするときに、データの分散が極端に小さくなる危険があります。

 

⑥ 肯定的表現の項目と否定的表現の項目を両方ふくめる

質問項目を5段階で評価してもらうときなどは、「英語を学ぶのは負担だった」などのマイナスの言葉がはいった項目と、「英語を学ぶことで友達がたくさんできた」などポジティブな言葉が入った項目、どちらも含めたほうがいいです。

というのも、どちらかの項目ばかりだと、5段階評価のどちらか一方に回答が偏ってしまうからです。

アンケート調査では、質問の内容に関わらず、ポジティブな回答をする傾向がある回答者もいます(acquiescence bias)。両方の項目を入れることで、このバイアスの影響も減らせます。

 

⑦ 翻訳できる項目を書く

(第二言語研究などの場合、)別の言語に翻訳できるような項目にしておくといいです。

意味を明確にするためにできるだけ受け身を使わない、「それ」「あれ」などの指示詞を使わずに指示詞が示す名詞を繰り返す、比喩は避けるなどがあげられます。

 

まとめ

アンケート調査の質問項目を書くときに気をつけることを紹介しました。

詳しくは下記の本をご覧ください。アンケート調査の作成・実施・処理を記載していて、役に立ちます。

  • Dörnyei, Zoltán, and Tatsuya Taguchi. Questionnaires in second language research: Construction, administration, and processing. Routledge, 2009.