言語学習のecological(生態学的)な視点について②:一般言語学との違い

参考にした本

前回に引き続いて生態学的(ecological)視点についてです。今回は以下の本に収録されていたvan Lierの論文を読みました。

  • van Lier, L. 2000. ‘From input to affordance: social-interactive learning from an ecological perspective’. In J. P. Lantolf (ed.), Sociocultural Theory and Second Language Learning. Oxford: Oxford University Press, pp. 245–59

 

生態学的(ecological)視点に基づく考えと一般言語学との違い

この論文によると、生態学的(ecological)視点では、西洋の学問一般が依拠する科学的(scientific)視点の以下の3つの前提条件を批判的に考えるようです。(p. 245-246)

  • 一貫した調査のためには、現実世界の多様性を単純化し、取捨選択する必要がある。
  • 複雑な説明よりも、単純な理論のほうがよりよい。
  • 問題があった場合、その要因を探り、1つずつ分析すべきである。

生態学的(ecological)視点は、ある事象が単純な理論等で説明できると考えていないようです。

そうではなくて、ある環境の中で、言葉やジェスチャーなどを使って人(学習者)が他者・モノと関わっていくなかで、様々な意味が生まれ、学習が生まれると考えているようで、その学習の生まれるプロセスに注目しているようです。

 

また、社会文化理論にもありましたが(詳しくはこちら)、生態学的(ecological)視点は、人間の頭の中ですべてが完結するとは考えていません。つまり、学習は、人の頭の中のみで生じるものではなく、ある環境における人間の社会的活動を通して生まれると考えているようです。

 

アフォーダンス

生態学的(ecological)視点の鍵となる考えの一つとして「アフォーダンス(affordance)」というものがあるようです。

これについては、以下の記事をご覧ください。

言語学習のecological(生態学的)な視点について③:アフォーダンス(affordance)について