寺沢(2014)の「なんで英語やるの」の戦後史を読了しました。

以下の本を読み終わりました。この本の筆者のブログ「こにしき(言葉、日本社会、教育)」を不定期ですが拝読していたこともあり、前から読みたいなと思っていました。

  • 寺沢拓敬. 「なんで英語やるの」 の戦後史:《 国民教育》 としての英語, その伝統の成立過程. 研究社, 2014.

この本を読むまで知らなかったのですが、中学校で英語(外国語)が必修科目になったのは2002年のことで(1998年改訂の学習指導要領で、選択科目の外国語が必修科目となり、それが2002年に施行されたそうです。)、それまでは「名目上」は選択科目だったそうです。

戦後初期は名実ともに「選択科目」だったのですが、1950年代・60年代に事実上の必修科目へと移行していったそうです。

この本ではなぜ英語が事実上必修化したのかという問いを複数の角度から検討していました。2部構成になっていて、第1部は歴史的経緯や英語をめぐる論争史を説明していました。特に、小学校英語論争の箇所は、個人的に興味があったので、論点がわかりやすくまとめられていて、大変参考になりました。

第2部では、英語が《国民教育》化した要因を検討していました。複数の要因をあげていましたが、私にとって興味深かったのは、「教養」という概念が、英語教育の正当性を担保する役割を果たしたという点です。英語の教育目的に「教養」を入れることで、高校に進学しない学生や、英語を必要性を感じない生徒に対しても、英語を学ぶ意義を与えることとなり、英語の事実上の必修化の一因となったということです。

寺沢は最近他の本や論文も発表しているようなので、また読んでみたいと思います。