マルチリテラシーズ教育(A pedagogy of Multiliteracies)について

New London Groupとは

このマルチリテラシーズ教育は1994年にアメリカのニューハンプシャー州のニューロンドンに集まった以下の10名の研究者が提唱したものです。

  • Courtney Cazden
  • Bill Cope
  • Norman Fairclough
  • James Gee
  • Mary Kalantzis
  • Gunther Kress
  • Allan Luke
  • Carmen Luke
  • Sarah Michaels
  • Martin Nakata (Australia)

CopeとKalantzisは今もマルチリテラシーズで多数の著書を書いています。Faircloughは批判的ディスコース研究で有名ですし、Geeもディスコース研究の著名な研究者の一人です。

彼らは会合が開催された場所を使い「The New London Group」として「A pedagogy of multiliteracies」という論文を発表します。

  • The New London Group. (1996). A Pedagogy of multiliteracies: Designing social futures. Harvard Educational Review, 66(1), 60–93. 

 

なぜ「リテラシー」でなく「リテラシーズ」なのか

リテラシーというと「読み書き」というニュアンスが強いですが、グローバル化に伴い、リテラシーの概念を広げなければいけないと上記の論文でNew London Groupはいいます(p. 61)。

例えば、同じ「言語」であったとしても、法律の文書を読む場合は法律の言語を学ぶ必要がありますし、新聞を書くときは新聞の言語、多くの人の前でプレゼンするときはそのための言語、というようにコンテクストによって必要な言語も変わってきます。

このようにリテラシーというのは一つでなくて複数という意味で「リテラシーズ」を使っています。

マルチリテラシーズは2つの意味で「マルチ」であるといっています。

  1. 言語・文化の多様性

    これは先ほど述べたような場面によって変わる言葉遣い(レジスター)やその他の変種(方言やWorld Englishes)などの多様性が含まれます。

  2. コミュニケーション媒体の多様性

    現在は紙媒体だけでなく、文字や音声、動画、画像などの複数の媒体を駆使してコミュニケーションをとるようになっています。こうした媒体の多様性も考慮に入れる必要があるといっています。

Design

New London Groupは「文法」という概念を使わず「Design(デザイン)」という概念を使って、言語の使用について説明しています。

 

まず、人は、何か発話したり作成したりときは、自分が使用可能なリソースを使って話したり、書いたりします。それを「Available Designs」といっています。

例えば、私がこのブログ記事を書くときは、自分が知っている言語である日本語や英語を使ったり、言語だけでなく画像を使ったり、さまざまな色のフォントを使ったりと、いろいろな選択肢があります。この私が使えるものすべてを使用可能なリソース、すなわち「Available Designs」といいます。

そして、実際に自分の使えるリソースを使って、実際に何かをすること(話したり、書いたりすること)を「Designing」といっています。

 

さらに、Designingをする中で、「Available Designs」が変形し、再生産されていきます。この「Available Designs」が変形したあとのものを「Redesigned(再デザインされたもの)」と言っています。また、自分自身もこういった意味構築のプロセスで変容していくといっています。

 

参考本

この記事を書くにあたって参考にしたのは以下の本の第1章です。

  • Cope, Bill, and Mary Kalantzis, eds. A pedagogy of multiliteracies: Learning by design. Springer, 2016.

著者のBill CopeとMary KalantzisはThe New London Groupの一員です。