グローバル時代の外国語教育について概観したKramsch (2014)を読みました。

この前紹介したThe Modern Language Journalの以下の論文を読みました。

  • Kramsch, Claire (2014) Teaching Foreign Languages in an Era of Globalization: Introduction. The Modern Language Journal. 98 (1), 296-311.

Kramschはカリフォルニア大学バークレー校の教授で、このブログでも何度か紹介しています。

最近の彼女の本です↓(詳しくはこちら

  • Kramsch, Claire (2008)The Multilingual Subject (Oxford Applied Linguistics). Oxford University Press

今回読んだ論文では、グローバリゼーション時代における外国語教育についての概観と展望を述べていました。
グローバル化が進むにつれ、「標準語」や「ネイティブスピーカー」、「真正性(authenticity)」、「外国語」など、これまでのモダニズムの枠組みで前提とされていた概念が批判されるようになっています。

ただ、こういった批判があるものの、現状の外国語教育では、「標準語」や「ネイティブスピーカー」などの規範がなくなったわけではなく、むしろ、こういった規範をもとに行っている場合が多いわけで、こういったグローバル化による新たな動きにどう対応していくかが課題になっています。

Kramschは、外国語教育で、「教養のある(educated)ネイティブスピーカー」を言語学習の目標としない場合はどうなるのか、多言語話者を前提として外国語教育を行う場合どういうことが起こるのか等、グローバル化に伴い外国語教育が直面している課題と、それに対する簡単な自らの意見も述べていました。

こういう俯瞰的な目で外国語教育を眺めるのもなかなか役に立ちますね。