程度表現の「ほど」と「くらい/ぐらい」の違いについて

程度表現の「ほど」と「くらい/ぐらい」

「ほど」も「くらい/ぐらい」も取り立て助詞で、おおよその程度を表します。

  • 昨日1時間くらい/ぐらい勉強しました。
  • 昨日1時間ほど勉強しました。

上記のように「1時間」等の数量について、おおよその量を使うときに使います。

 

また、それだけでなく、程度表現としても使われます。

  • 昨日は1日中、外で作業をしていて、もう歩けないほど疲れた。
  • 昨日は1日中、外で作業をしていて、もう歩けないくらい疲れた。

 

程度表現の「ほど」「くらい」はどちらも似ていて、交換可能なことが多いです。

意味・用法は非常に似ているのですが、「ほど」と「くらい/ぐらい」には、以下のような違いがあると言われています。

 

「ほど」と「くらい/ぐらい」の違い

①「ほど」のほうが硬い表現

一般的に「ほど」のほうが「くらい/ぐらい」より硬い表現だと言われています。

 

②「ほど」のほうが程度が高い場合に使われることが多い

「どんなときどう使う日本語表現文型500」によると、「ほど」のほうが程度が高いときに使われやすいそうです。

例えば、以下のようなときはあまり「ほど」は出てきません。

✕ 痛いけれど、がまんできるほどの痛さだ。

〇 がまんできないほどの痛さだった。

「どんなときどう使う日本語表現文型500」より引用)

確かに「がまんできるほどの痛さ」というのはあまり言わない気がしますね。

 

「死ぬほど」という程度の高いことを示す表現も、「くらい」より「ほど」が頻繁にでてくる気がしたので、Google検索で以下の表現を調べてみました(検索日:2021年4月21日)。

  • 死ぬほど痛い→315,000件、死ぬくらい痛い→1,490件
  • 死ぬほど怖い→104,000件、死ぬくらい痛い→897件
  • 死ぬほど嫌い→645,000件、死ぬくらい嫌い→496,000件
  • 死ぬほど眠い→45,500件、死ぬくらい眠い→172件

後続する形容詞によって頻度には差がでるようですが、いずれも「ほど」のほうが高い頻度で現れていました。

 

他の程度の高いことを示す表現でも検索してみました(検索日:2021年4月21日)。

  • 心臓が飛び出るほど驚いた→12,700件、心臓が飛び出るくらい驚いた→353件
  • 飛び上がるほど喜んだ→6,650件、飛び上がるくらい喜んだ→219件
  • 目が飛び出るほど安い→1,650件、目が飛び出るくらい安い→168件
  • 凍えるほど寒い→12,200件、凍えるくらい寒い→9,480件

私が調べた限りだと、「ほど」のほうが程度が高いときに使われやすいという傾向はあるようです。

 

③「くらい」は「~のような軽いこと・簡単なこと」という軽視の意味でも使われる

「くらい」は「~のような最低限のこと・軽いこと・大したことのないこと」という軽視の意味でも使われますが、「ほど」にその意味はありません

(日本語教育では、この用法の「~くらい」は程度表現の「~くらい」とは別の文法項目として提示されることが多いかと思います。)

  • 忙しいのはわかるけど、メールをするくらい(×ほど)してください。
  • 運動不足なので、歩くくらい(×ほど)はしたほうがいい。

上記のときに「ほど」は出てこないですね。

 

まとめ

「ほど」「くらい/ぐらい」の違いについてまとめました。

何かのお役に立てれば幸いです。

ちなみに、「くらい/ぐらい」については、意味・用法に違いはないと言っていいと思います(私は、少なくとも、この2つの意味・用法に違いがあると説明しているものを見たことはありません。)